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2013年08月19日

[パット・グロスマンの交流分析の『3つのP』:2]

パット・グロスマンの交流分析の『3つのP』:2

『人生脚本(life script)』とは、『自分がどういった役割や価値を持つ人間なのか。自分はどのような人生を誰と一緒に生きていくのか』という大まかな人生計画や自己評価の筋書きである。人生脚本の内容・方向性というものは、幼少期から続く親子関係のフィードバックや他者との関わり合い、人生経験の積み重ねによって形成されていく。

交流分析では『自己否定的・将来悲観的・他者拒絶的な人生脚本の筋書き』を、少しでもポジティブで将来の希望・楽しみにつながる内容(自己と他者を共に肯定して人生を前向きに捉えられる方向)へと書き換えていくことになるが、この脚本分析を実施するカウンセラーの基本的な態度・能力と心構えについて記したものが『3つのP』と呼ばれるものである。

アメリカの交流分析家であるパット・クロスマン(Pat Crossman)が交流分析家の基本的態度として提唱した『3つのP』は、『Permission(許可), Protection(保護), Potency(能力)』で構成されている。

クライエントの人生設計や自己概念の定義を改善的に検討していく『脚本分析』のセッション(心理面接)では、交流分析家は『クライエントの安心感・信頼感・回復の信念』を高めるために、『3つのP』と呼ばれる基本的態度の実践に努めなければならないとされる。

交流分析の『3つのP』は、カール・ロジャーズの来談者中心療法(クライエント中心療法)で重視されている『カウンセラーの基本的態度(徹底的な傾聴・共感的理解・純粋性と自己一致・無条件の肯定的受容)』にも共通する特徴を持っている。3つのPと呼ばれるカウンセラーの基本的態度は、特別な理論・知識ではなく『クライエントに対する誠実さ・関心の深さ』に裏打ちされたものなのである。

Permission(許可)……両親からの教育・注意(しつけ)によって与えられた自己否定的・将来悲観的な人生脚本を『ポジティブに書き換えても良い』という許可をクライエントに与えること。クライエントが自分で自分を不幸にしている『自己束縛・禁忌原則』を意識的に解除することで、過去の呪縛として機能してしまっている人生脚本の書き換えに安心して着手しやすくなる。

Protection(保護)……今まで無意識に作り上げてきた『人生脚本』を書き換えようとする過程では、恐怖感や不安感、不確かさを感じやすくなるが、カウンセラーはクライエントを保護して『勇気づけ』をして上げなければならない。『保護』とはクライエントに対して人生脚本を変更しても大丈夫だと請けあう心理的保証のことであるが、他のカウンセリング技法と同じように、共感的理解や支持的対応などもしっかり行っていく必要がある。

Potency(能力)……クライエントとの双方向的なコミュニケーションを可能にするカウンセラーの能力・適性のことである。専門的な知識や効果的な技法、人間的な魅力によって、『能力・適性』が保証されることになるが、Potencyを備えたカウンセラーはどんな事態・変化が起こっても対応できるだけの『知識・技法の応用範囲の広さ+共感的理解の深さ』を備えていなければならない。

この記事の内容は、『前回の記事』の続きになっています。

posted by ESDV Words Labo at 02:59 | TrackBack(0) | く:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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