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2013年10月25日

[燃え尽き症候群(burn-out syndrome)]

燃え尽き症候群(burn-out syndrome)

燃え尽き症候群(burn-out syndrome)はアメリカの精神分析医のハーバード・フロイデンバーガー(Harvard Freudenberger)が、自身が勤務している病院の看護師・ケースワーカーが心身共に疲労困憊してしまって意欲・情熱・活発性などを失ってしまっている状態を見て名づけた症候群である。1974年に、H.フロイデンバーガーが受け持った症例のケーススタディの中で用いられたのが初めてだというが、アメリカの1970年代はメンタルヘルスやその治療・対応に対する一般の興味関心が急速に高まり始めた時期でもあった。

H.フロイデンバーガーの定義によると、『燃え尽き症候群(バーンアウト症候群)』とは仕事上のストレスが長期にわたって持続している人に起こる神経衰弱・うつ病にも類似した疲憊の強い症候群であり、『意欲減退と仕事能力の低下・興味関心の喪失・感情の鈍麻や興奮・疾病に対する免疫力の低下・人間関係の不適応(親しみの喪失)・人生に対する無意味感や悲観的な見通し・サボタージュや欠勤』などの症状が見られるという。

社会心理学者のクリスティーナ・マスラーク (Christina Maslach)が、燃え尽き症候群を臨床的に測定するための『マスラーク・バーンアウト・インベントリー(Maslach Burnout Inventory)』という質問紙法の心理テストを作成している。燃え尽き症候群の予後・転帰には、『自殺・過労死・突然死・犯罪の逸脱行動』なども含まれており、重症の事例ではストレス性(心因性)の精神病に近い病態が見られるとされる。

自分の持っているエネルギーのほぼ全てを投入して、一つの仕事や生き方に献身的に取り組んでいた人が、まるで自分自身を全て燃焼し尽くしてしまったかのように『虚脱した無気力・意欲喪失・虚無感・疲労困憊の状態』に陥ってしまうことを指して燃え尽き症候群という。それまでは、バリバリと猛烈に働く企業戦士のようだったサラリーマンが急にぐったりとして覇気がなくなり会社も遅刻・欠勤が増えてきたりする、あるいは疲れ知らずのスポーツマンとして部活に取り組んでいた学生が、突然そのスポーツに意欲・情熱・意味を感じられなくなり練習をさぼりがちになったり気持ちが落ち込んで何もやる気がなくなったりする。

燃え尽き症候群の最大の特徴は、『発症する以前の人格・行動・活力』『発症した後の人格・行動・活力』がまるで別人のように180度変わってしまうということである。その原因は『慢性的かつ長期的なストレス・緊張や不安』にあると考えられているが、すべてのエネルギーを燃やして頑張ったのに期待していたほどの報酬・実感が得られなかった時とか、自分が長年目標としていたことを遂に達成してしまって急に力が抜けてしまった時とかにも、燃え尽き症候群のような状態になることがある。

燃え尽き症候群は大きく分けると、『心身のエネルギーの限界まで頑張り過ぎて疲労困憊してしまったタイプ』『一つの物事に長年全力で取り組んできたが、遂に最終的な目標らしきものを達成してしまって無力感にとらわれてしまうタイプ』とに分けることができるだろう。前者は過剰な労働・練習・勉強による疲労の蓄積などが原因であるが、後者はサラリーマンが目指していた本部長(社長)の座に座ってしまうとか、高校生の野球選手が目標にしていた甲子園で優勝してしまうとかした後に、自分が必死に目標としてきたものを達成してしまった脱力感・無意味感を味わってしまうというものである。

後者もそれまで『ギリギリの限界状況』で頑張っていたという事情があることが多く、『もうこれ以上は頑張れない・ここら辺で力を抜いてのんびり生活したい・今までのような全力の努力や頑張りをもうしたくない』と思うことによって燃え尽き症候群を誘発してしまう。極度のストレスがかかる職種・活動、それまでの努力・緊張を水の泡にされるようなリストラ・会社倒産や人間関係の悪化によっても燃え尽き症候群が起こりやすくなるし、うつ病と同じく家族・恋人との別離や死、持続的なストレスや過労状況によっても発症リスクが上がってしまう。

燃え尽き症候群になりやすいとされる病前性格は、『几帳面・生真面目・義務感が強い・責任感が強い・凝り性・他者配慮性・秩序嗜好性・完全主義・努力家・固くてユーモアが乏しい・融通が効かない』といったもので、うつ病(単極性の気分障害)になりやすいメランコリー親和型性格とほぼ共通したものである。そのことからも、燃え尽き症候群は『心因性(ストレス反応性)のうつ病』の一種として理解されることも多い。



posted by ESDV Words Labo at 08:11 | TrackBack(0) | も:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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