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2013年10月31日

[小此木啓吾のモラトリアム人間(moratorium personality):2]

小此木啓吾のモラトリアム人間(moratorium personality):2

モラトリアムとは自分の社会的・職業的な自己アイデンティティが定まっていない不安定で曖昧な状態であり、『自分が集中してやるべきこと・優先してやりたいこと』が分からなくなっているという特徴があるが、これを裏返せば『特定の義務・責任・仕事に縛られない自由な心理状態』でもあるので、現在ではモラトリアムが必ずしも社会不適応や主観的な苦悩・迷いにつながっていないという指摘もある。

フリーター的なライフスタイルやスキルアップによる着実な転職などによって、『固定的な自己アイデンティティ』に縛られなくても、自分の人生設計や生きがいを見いだせる人も出てきているからである。また見せかけのモラトリアム期間が、何らかの学習の機会や技術の向上、体験の時間、人間関係の積み重ねとしての価値を持っていることも増えている。

一つの仕事や役割だけを生涯にわたって地道に続けられる時代では無くなったこともあり、『モラトリアムの時間の使い方』のほうが『自己アイデンティティの再確立(失業・転職・時代の変化・家族関係などによる中年期の危機の克服)』とも合わせてより重要になってきている。

自分が社会的に何者であるのか、どのような職業活動を通して自分の役割を果たしていくのかが、かつては『学校卒業時の職業選択・進路決定』によって大まかに決められていたため、その時点で自分の職業人やサラリーマンとしての自己アイデンティティを確立し始めないとモラトリアム(社会的選択の猶予期間)に陥ってしまうという風に考えられていたりもした。

しかし現在では、学卒時点の進路選択によって『生涯にわたる自己アイデンティティの確立』をすることが著しく困難になっており、転職や失業、スキルアップ(職業訓練・資格取得)などの要素が加わることで、『各時点におけるモラトリアムの有効活用+自己アイデンティティの再建』が中高年期以降の発達課題になることも少なくない。

小此木啓吾によれば、モラトリアム人間は一人の人間が一貫した流れのある仕事の全体を引き受ける職業人になれない時代、分割された仕事の部分を組織人としてこなすしかなくなった『自由主義社会・分業的な管理社会』に対する一つの適応方略であるとされている。小此木啓吾のいうモラトリアム人間の特徴は以下のようなものである。

1.一時的あるいは暫定的な集団・企業への帰属感(腰掛けでの勤務などその場だけを何とかやり過ごす意識)しか持つことができず、持続的かつ全面的な職業的アイデンティティの確立が困難である。

2.社会生活(集団活動)における責任感・義務感が拡散しており、自分が所属集団・帰属社会の一員(メンバー)であるという実感も弱い。

3.受動的な態度(受身の待ちの姿勢)が目立ち、社会・仕事における積極的な行動の動機づけが弱い。仕事状況において、人から何かをするように言われなければ、自分から率先して何かをやろうとはしにくい。

この記事は、『小此木啓吾のモラトリアム人間(moratorium personality):1』の続きになっています。



posted by ESDV Words Labo at 09:01 | TrackBack(0) | も:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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