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2013年10月31日

[森田神経質(Morita neurosis)と森田療法(Morita therapy):1]

森田神経質(Morita neurosis)と森田療法(Morita therapy):1

S.フロイトの創始した精神分析でいう『神経症(neurosis)』は、精神的原因による心身症状の総称であり、『手足の振るえ・けいれん・めまい・吐き気・大量発汗・ヒステリー球(喉のつまった感じ)・情緒不安定・興奮,心因性の失声・失明・失歩』などさまざまな症状を含んでいる。ヒステリーは精神的原因による身体症状(振戦・けいれん)、情緒不安定を指すことが多かったが、神経症はヒステリーを含む包括的かつ汎用的な疾病概念(悪く言えば何でもありのダストボックス的な概念)として使われていた。

日本の精神科医である森田正馬(もりたまさたけ,1874-1938)は、神経症へのとらわれを無くしてありのままの自分を受け容れることを目指し、神経症についての不安を語らずにやるべき仕事・作業にひたすら集中することで神経症を改善していく『森田療法』の創始者として知られる人物である。森田正馬は自身の精神病理学において、心因性の身体症状を中心とする『ヒステリー』と身体や精神の異常に敏感になってしまう精神交互作用によって症状が悪化する『神経質』とを区別した。

精神交互作用というのは、通常であれば無視しても構わないほどの些細な身体感覚や心理状態の異常に注意を向けてしまうことで、更にその身体感覚・心理状態の異常が強調されてしまうという現象であり、『精神的な注意・関心の作用』によって余計に症状が悪いように感じられてしまうということを指している。つまり、精神交互作用とは『感覚』と『注意・関心』とが相互に影響を与え合う悪循環のことなのである。

森田療法の治療戦略の中心にあるのは、この『精神交互作用』を弱めることであり、簡単に言えば『自我への執着・生の欲望の過剰』をやめて、『あるがままの自分』を見つめて自然に受け容れるということである。

森田療法は心配しても仕方がないことにいつまでも囚われるべきではないという治療観に基づいており、『今の自分の状態ではダメだ・もっと健康で幸福な自分になりたい・自分のこの違和感は深刻な異常の兆しではないか』といった現状否定の欲望の過剰を抑えることによって、ありのままの自分でもリラックスして生きられることを目指す。

『森田神経質(森田神経症)』と呼ばれる精神の衰弱や過敏、とらわれの状態は、大きく以下の3つの精神疾患に分類することができる。

1.普通神経質(心気症・ヒポコンドリー)……小さな身体の違和感や心拍数の状態などに対して、自分が深刻な病気になってしまった兆候ではないかと疑ってしまい、医学検査や医師によって深刻な病気の可能性を否定されても納得できない。

2.強迫観念症(強迫性障害・恐怖性障害)……非合理的で無意味な行動をしなければならないという強迫観念や自分がした行動が確実にできているか分からなくて何度も繰り返してしまうという完全主義思考に囚われてしまう病気。家の鍵を掛けたのにもしかしたら掛け忘れたかもしれないと思って何度も家に引き返してしまう(ガス栓を何度も締め直さないと安心できない等)という『確認行為(反復行為)』が行われる。強迫的な観念や不合理な妄想が常に頭の中にあって、安心したりリラックスすることができず、『規則的・秩序的な行動の反復』が見られたりする。

3.発作神経症(不安性障害)……心理状態が悪くなるような明確な理由・原因がないにも関わらず、突然強烈な不安に襲われて『パニック発作(恐慌発作)』を起こしてしまうような神経質状態。漠然とした『慢性的な不安感・自己不確実感』があるので、いつでも小さなストレスや動揺(気持ちの乱れ)によってパニック(混乱状態)に陥ってしまう危険性がある。



posted by ESDV Words Labo at 11:01 | TrackBack(0) | も:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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