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2013年10月31日

[森田神経質(Morita neurosis)と森田療法(Morita therapy):2]

森田神経質(Morita neurosis)と森田療法(Morita therapy):2

森田神経質では、誰にでもあるような些細な身体の感覚の違和感や心理状態の乱れを、深刻で致命的・病的なものとして受け取ってしまう傾向があり、常に自分が『何らかの重症の病気・精神疾患ではないかという不安感』を抱えているが、自分の異常・違和感に敢えて注意や関心を向けてしまい、その『精神交互作用』によって更に体調・気分が悪化しやすくなる。森田神経質の典型的な特徴としては、以下の3点が指摘される。

1.『自己中心的・内向的なパーソナリティ傾向』を持つ。自分の意見や感情を他者に対して表現することが苦手である。

2.『心配性・過敏で臆病なパーソナリティ傾向』を持つ。些細な出来事や身体の違和感を深刻なこととして大げさに受け取ってしまう。

3.『完全主義欲求・強迫的なパーソナリティ傾向』を持つ。小さなミスや失敗、違和感を許すことができず、いつも完璧に物事をやり遂げたいという欲求が強い。一つの物事や観念に強迫的に囚われやすいところがある。

1920年頃に、精神科医の森田正馬(もりたまさたけ,1874-1938)によって、森田神経質をはじめとする神経症の治療法として開発されたのが『森田療法(Morita therapy)』である。森田療法は森田神経質の特徴である『自己中心性・自己への囚われ・内向性・完全主義欲求・強迫性・心気症(生の欲望の過剰と自分への執着によって生まれる症状・苦しみ)』を改善して、『あるがままの自分』と向き合って受け容れていくための治療法である。

森田療法は、40〜90日間に及ぶ『入院治療・合宿形式(泊まり込みの形式)』によって実施される特殊な治療法であるが、その治療期間は以下のような四期に分類されている。

第一期(絶対臥褥期)……患者を外部社会や各種の刺激(仕事・娯楽・関係・情報から隔離することによって、『あるがままの自分』と対峙するように方向づける段階。インターネットや携帯電話はもちろん、読書や会話、喫煙、飲酒、ゲームなどあらゆる慰安・趣味などが禁止されて、食事とトイレ以外は終日ベッドの中の臥褥状態で過ごすことになる。

第二期(軽作業期)……交際・会話・読書・外出・ネットなどは禁止されているが、ベッドでの臥褥期間は7〜8時間に短縮されて、昼間の時間は屋外に出て新鮮な空気や太陽の光に触れて軽作業に取り組むようにする。患者同士の雑談や外部との連絡は禁止だが、主治医との『個人面談』と『日記指導』が実施されるようになる。

第三期(作業期)……睡眠時間以外はほとんど何らかの目的志向の活動に従事する時期。日曜大工や畑仕事、道路の掃除、庭の手入れといった屋外での身体を使った仕事が中心になるが、時間を制限した読書も許可されるようになる。

第四期(社会復帰の準備期)……閉鎖された環境だけではなく、外部の社会生活にも復帰できるように準備をする時期。日記指導からの個人カウンセリングや社会に関する情報提供などが実施され、『あるがままの自分(些細なことに囚われない自分)』で『やるべき仕事』をこなせる状態を現実社会でも維持できるようにしていく。

森田療法は原則として“40日間〜90日間”くらいの専門医療機関による入院療法であり、精神疾患に対する外来の薬物療法が中心になってきた現在の精神医療では、『時間・手間のかかる森田療法』を実践している医師・医療機関は非常に少なくなっている。

森田療法の『やるべきことを目的本位でとにかくやる(観念的な思考や妄想、執着を放棄する)』という治療コンセプトは現在の精神療法としても有効な部分はある。だが、重症の精神疾患や抵抗の強いクライアントに対しては、『自己や病気への囚われをなくせ・やるべきことだけをやれ・あるがままの自己を受け容れろ』というストイックな指導法がかえって抵抗の副作用や反動としての情緒不安定を強めてしまうリスクもある。

この記事は、『森田神経質(Morita neurosis)と森田療法(Morita therapy):1』の続きになっています。



posted by ESDV Words Labo at 11:04 | TrackBack(0) | も:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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