A.ピンカスとA.ミナハンの4つのシステムモデル
社会的困窮者を“福祉制度・対人援助”で支援するソーシャル・ケースワークでは、『ケースワーカーの態度・方法』と『要支援者(支援を受ける人)の問題状況や能力・健康の把握』の双方が重要である。ソーシャル・ケースワークでは、ケースワーカーと要支援者のダイナミックな相互作用を踏まえた支援のあり方を検討していくことが前提になる。
ソーシャルワーカーのA.ピンカス(A.Pincus)とA.ミナハン(A.Minahan)は、社会福祉活動を分野横断的な広い視点で捉えて、『ソーシャルワーカー(ケースワーカー)・クライアント(要支援者)・社会福祉機関(児童相談所など)のダイナミックな相互関係』を踏まえた体系的な理論を構築しようとした。
A.ピンカスとA.ミナハンの二人が提唱した『4つのシステムモデル』というのは、以下のような社会福祉的システムの相互作用のことを意味している。
1.チェンジ・エージェント・システム(change agent system)……ソーシャルワーカー(ケースワーカー)と所属する社会福祉機関(社会福祉事務所・児童相談所・高齢者施設など)が相互作用するシステム。
2.クライアント・システム(client system)……クライアント・クライアントの家族・地域社会(各種の身近なコミュニティ・集まり)が相互作用するシステム。
3.ターゲット・システム(target system)……ソーシャルワーカー(ケースワーカー)とクライアントの問題解決のために標的(ターゲット)となる相手・状況・社会福祉機関などが相互作用するシステム。
4.アクション・システム(action system)……クライアントの問題解決のために実際に活動する人たち(ケースワーカーとクライアント本人を含む)の間でリアルタイムの相互作用が起こるシステム。