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2013年12月08日

[ユング心理学の『夜の航海(night sea journey)』の元型(archetype)]

ユング心理学の『夜の航海(night sea journey)』の元型(archetype)

カール・グスタフ・ユング(Carl Gustav Jung, 1875-1961)が創始した分析心理学(ユング心理学)では、無意識領域を『個人的無意識』『集合無意識(普遍的無意識)』に分類している。

“個人的無意識(individual unconsciousness)”とは個人の過去の経験や感情、記憶(個人が実際に経験した重要な出来事)にまつわる無意識であり、S.フロイトは『自分自身が認めたくない反道徳的な記憶・性的な意味のある出来事・トラウマに関連する感情』が抑圧されやすいとした。C.G.ユングは個人的無意識の内容を必ずしも『抑圧された性的な欲求・記憶』とは結びつけておらず、『その個人にとって重要性の高い感情・記憶・欲求』などが潜在する簡単には思い出すことのできない領域という風に考えた。

“集合無意識・普遍的無意識(collective unconsciousness)”とは、個人的無意識よりも奥深い領域にある『集団単位(あるいは民族・人類の全体)で共有される無意識』であって、集合無意識は『普遍的かつ典型的なイメージ』として知覚され体験されることになる。集合無意識の内容を指示するこの普遍的・典型的なイメージのことを『元型(アーキタイプ,archetype)』と呼んでいる。

元型(アーキタイプ)には、アニマやアニムス、グレートマザー、オールド・ワイズマン、トリックスター、永遠の少年などの様々な種類があり、これらの元型は国・民族・宗教・文化を問わずどの地域の人たちにも共有される普遍性の高いイメージとして考えられている。『夜の航海(night sea journey)』というのも、ユング心理学における元型の一種であり、そのモチーフは北米原住民であるインディアン(ネイティブ・アメリカン)の神話の世界観に起源がある。

インディアン(ネイティブ・アメリカン)の神話では、太陽が朝に東の空から昇って、昼の正午に天空の頂点に達して、西の海に太陽が沈むと巨大な怪魚に呑み込まれてしまうという世界観がある。怪魚に呑み込まれた太陽は、そのまま東の地平線の底へと運ばれていく『夜の航海(night sea journey)』の道のりを経て、再び朝になると東の空から太陽が昇り始める。延々とその太陽が昇って沈んで怪魚に呑み込まれて運ばれる(また東の地平線へと夜の航海で戻される)という周期的なプロセスが繰り返されるというものである。

『夜の航海』の普遍的イメージは、自我を象徴する“太陽”、無意識を象徴する“海”、母親・胎内を象徴する“怪魚”によって構成されており、怪魚に呑み込まれる太陽の図式は『母胎回帰願望(原点回帰衝動)』が投影されたものだと考えられている。太陽が沈んで怪魚に呑み込まれた後の『夜の航海』は、自我が母胎・原点へと回帰していき『新たな自我・成長した自我』へと生まれ変わろうとするプロセスであり、『夜の航海』という元型は『死と再生・終わりなき輪廻』のメタファーとしても機能している。



posted by ESDV Words Labo at 02:06 | TrackBack(0) | ゆ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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