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2013年12月20日

[欲求不満-偏見説(frustration-prejudice)]

欲求不満-偏見説(frustration-prejudice)

自分の欲求や希望が充足されない『欲求不満(フラストレーション)』が続くと攻撃性が高まるということは、J.ダラード(J.Dollard)N.E.ミラー(N.E.Miller)『フラストレーション-攻撃仮説』によって示唆されている。

物事が思うように進まなかったり課題の達成に失敗したり、他人から自分の行動を邪魔されたりするとフラストレーションが生じるが、攻撃行動を回避するためには『フラストレーション耐性の上昇・具体的な問題解決の促進・状況や相手の肯定的な認知(解釈)』がポイントになる。またフラストレーションは『攻撃性』だけではなく『弱者に対する偏見・差別』を強めることも分かっている。

フラストレーションの欲求不満によって、社会的・立場的な弱者に対する差別や偏見が強まるという仮説を『フラストレーション-偏見説(frustration-prejudice theory)』と呼んでいる。

人間は欲求不満による怒り・攻撃性を感じた時に、その直接の原因となっている相手・集団・権力に対して攻撃を加えようとするが、その相手・集団が強力でどうやっても勝てそうにないと、その不満を『自分よりも弱い他者』に向けるようになる。そして、この攻撃は弱い者いじめではないという自己正当化のために、『あいつが悪いからこれくらいやっても良いという理由づけ』としての偏見・差別感情を抱くようになるのである。

『フラストレーション-偏見説』は、他者・社会から攻撃や圧迫を受けている弱者が、更に自分よりも弱くて対抗力のない弱者を見つけて攻撃を加え始めるという『抑圧移譲の状態』を説明するための理論にもなっている。

独裁国家やファシズム社会では、権力機構によって国民全般の自由が抑圧されて慢性的なフラストレーション状態に陥っていることが多いため、『社会的弱者・少数民族・外国人に対する差別や偏見』が横行しやすくなり、そういった弱者に対する弾圧・暴行などの問題が深刻化することがある。

ナチスドイツのユダヤ人差別・弾圧が有名であるが、それ以外にもユダヤ人(イスラエル)によるパレスチナ人弾圧、中国によるチベット人・ウイグル人の弾圧など現代にも残る多くの民族差別問題が、フラストレーション-偏見説(弱者叩きがどんどん下層へと連鎖していく抑圧移譲のメカニズム)によってある程度まで説明可能なのである。



posted by ESDV Words Labo at 11:31 | TrackBack(0) | よ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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