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2007年04月14日

[グループ・アプローチとヤコブ・レヴィ・モレノのサイコドラマ(心理劇)]

グループ・アプローチとヤコブ・レヴィ・モレノのサイコドラマ(心理劇)

集団精神療法を含むエンカウンター・グループ(グループ・カウンセリング)は、精神分析を起点とする力動的心理学(力動精神医学)の影響を受けており、個人と個人が相互的にコミュニケーションや葛藤をしながら成長(回復)するモデルを持っている。エンカウンター・グループの果たす最大の役割の一つが、鏡映的な他者(参加者)を通した『自己理解の深化・自己洞察の進展・問題解決能力の向上』である。

多様性のある複数の個人から構成される集団のダイナミズム(力動)と力動による変容過程、集団特有の雰囲気(特性)を利用した心理学的アプローチを『グループ・アプローチ(group approach)』という。グループ・アプローチは集団の力動と機能を応用したカウンセリングであり心理療法だが、『個人の成長・回復・教育・治療』などを目的として実施されるものである。一対一で面談(相談面接)を行う個人カウンセリング(個人精神療法)の対義語が、複数の個人でセッション(自己表現・対話)を行うグループ・アプローチである。

グループ・アプローチとは、グループ・カウンセリングとグループ・サイコセラピーの総称であり、産業カウンセリング分野におけるTグループやヤコブ・レヴィ・モレノサイコドラマ(心理劇)、サイコドラマを含む集団ロールプレイングもグループ・アプローチに含まれる。ルーマニア出身のモレノが考案したサイコドラマ(心理劇)とは、個人の自発性や情動的な創造性、対人関係への適応力、コミュニケーションのスキル向上を実現するために行う『役割分担がなされたロールプレイング』のことである。

サイコドラマは、『監督・演技者・観客・補助自我・舞台』という5つの構成要素を持っており、演技者が主役や脇役、敵役などの役割分担をして演技をし、監督と監督を補佐する補助自我は演技者に対して適切なインタビューと傾聴を行っていく。サイコドラマ(心理劇)とは、『心理的な苦悩(葛藤)の問題』を主題(テーマ)とした臨場感溢れる演劇のロールプレイングであり、演技の枠組みの中でエンカウンターのようなホンネの自己(感情・主張)をありのままに表現していこうとするものである。

悩みを持った複数の人間が、『ホンネとホンネの交流(共感的なふれあい)』をする集団面接の場面を準備するのがエンカウンター・グループであるが、サイコドラマ(心理劇)もロールプレイングと仮想世界の要素を取り入れたエンカウンター・グループとして解釈することができる。エンカウンター・グループには、面接構造(場所・時間・話す順序)や話題にするテーマを形式化した構成的エンカウンターと特別な面接構造や話題にするテーマを決めずに自由にそれぞれの意見や感情を表現する非構成的エンカウンターとがある。

非構成的エンカウンターは、C.R.ロジャーズの自己理論やクライエント中心療法(来談者中心療法)を起点として歴史的発展を見せたが、構成的エンカウンターは、状況改善のための行動処方を与える集団行動療法や社会的学習理論のアルバート・バンデューラ(A.Bandura)によって洗練されていった。精神疾患の有病者や人格障害など病理的なパーソナリティを持つ人に対して行われる集団療法がグループ・サイコセラピー(集団精神療法)であるが、サイコドラマ(心理劇)・ゲシュタルト療法・交流分析・精神分析・感受性訓練・行動療法(エクスポージャー法)などを応用したグループ・サイコセラピーがある。

posted by ESDV Words Labo at 00:28 | TrackBack(0) | く:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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