ウェブとブログの検索

カスタム検索





2014年02月11日

[力動精神医学(dynamic psychiatry)・力動的心理学(dynamic psychology)と記述精神医学(descriptive psychiatry):1]

力動精神医学(dynamic psychiatry)・力動的心理学(dynamic psychology)と記述精神医学(descriptive psychiatry):1

力動精神医学(dynamic psychiatry)とは、力学的な概念と心理的な力の相互作用を導入した精神医学のことであり、一般的にはジークムント・フロイトの『精神分析(psychoanalysis)』の理論と技法を基盤において研究される精神医学のことを指すことが多い。

力動的心理学(dynamic psychology)もほとんど『精神分析』と同じ意味で言われることが多い。だが、20世紀後半からの精神疾患に対する『薬物療法』の普及で精神分析が衰退したことによって、最近では力動的心理学(=精神分析的心理学)という概念が以前ほど頻繁には用いられなくなってきている。力動的心理学とは自我・エス・超自我といった『複数の精神機能(心的装置)』が相互にせめぎ合って葛藤することによって特定の心理状態(神経症的な精神病理)が決定されるという考え方に立っている。

力動的精神医学の『力動(dynamism)』が意味する力学的な概念や相互作用は、人間の心理状態・精神病理が『静的な記述対象』などではなく『動的な生成変化のプロセス』であるということを示唆している。人間の心の内面世界では『生物的・心理的・社会的な複数の諸力』が相互作用してせめぎ合っており、それらの複数の力の間の相関関係や因果関係によって、特定の精神現象(精神病理)が動的に発生するというのが『力動的精神医学(力動的心理学)』の基本図式である。

力動的精神医学の対義語は『記述精神医学(descriptive psychiatry)』と呼ばれる静的精神医学の分野である。記述精神医学を創始したのは、精神病を早発性痴呆(統合失調症)と躁うつ病(双極性障害)の2つに大別して近代精神医学の基礎を築いたエミール・クレペリン(Emil Kraepelin, 1856‐1926)である。

記述精神医学では、精神疾患の観察可能な外的徴候(外的特徴)と行動変容に注目して、その症状や行動、特徴を客観的に記述していく方法論を採用しており、『精神医学の数量化・科学化』に大きな貢献をした。力動的精神医学は『内的な精神機能・感情の変化・複数の力(影響)の葛藤』などに注目することで、患者の心理状態や精神症状を共感的かつ主観的に理解しようとするが、記述精神医学ではできるだけ主観性を排除して客観的かつ機械的な記述に徹しようとする違いがある。

記述精神医学は『客観的に観察可能な行動・症状・発言』に注目して淡々と記述していくという意味では、ジョン・ワトソンやB.F.スキナーらの行動主義心理学(行動科学)にも類似した方法論的基礎を持っていると言えるだろう。

力動的心理学は『主観的に了解可能な感情(気持ち)・葛藤(内面世界)・記憶(過去の影響)』に注目して共感的に理解しようと努めるという意味で、やはりS.フロイトやC.G.ユングの精神分析的な方法論に依拠している立場の精神医学なのである。



posted by ESDV Words Labo at 03:07 | TrackBack(0) | り:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。