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2014年03月07日

[リビングウィル(living will)と尊厳死・安楽死:2]

リビングウィル(living will)と尊厳死・安楽死:2

倫理的な安楽死はすべて患者本人の自由意思や自発的な申し出に基づく『自発的安楽死(voluntary euthanasia)』でなければならないが、ナチスドイツが優生主義に基づいて行った障害者・高齢者・ロマ(ジプシー)などの積極的安楽死は実質的な『反自発的安楽死(involuntary euthanasia)の虐殺行為(人道的な犯罪行為)』である。

自発的安楽死と反自発的安楽死の中間的な形態として、乳児・重度の認知症者など患者本人に意思表示や状況認識の能力がない場合に、その保護者が安楽死の選択を判断する『非自発的安楽死 (non-voluntary euthanasia)』というものもある。

消極的安楽死は尊厳死とほぼ同じ行為であるが、リビング・ウィルに基づく尊厳死(消極的安楽死)は具体的には『延命治療(延命措置)の中止=人工呼吸器の取り外し』という形を取ることが多い。

尊厳死とは患者自身が認識している『人間としての尊厳(機械・装置につながれない自然死のプロセス進行)』を守るために行われる『自発的消極的安楽死』のことである。他者がその本人の生命や人生の価値がない(あるいはこのまま生きていてもただ苦痛や絶望に襲われ続けるだけ)と一方的に判断して死なせる『非(反)自発的積極的安楽死』のことを『慈悲殺(mercy killing)』と呼ぶことがある。

リビング・ウィルは延命治療をどうするのかについての生前の意思表示書であり、自分自身が病状の悪化や事故の脳損傷によって意思表示できなくなった時(植物人間のような状態になった時)に、『回復の見込みがない状態において、これ以上の延命治療はしないで下さい』という自分の意思を明確にして文章として残しておくことなのである。

リビング・ウィルは自分自身に元々備わっている生理学的機能(心拍・呼吸・摂食・栄養摂取)や自然治癒力(自然回復能力)を重要視した意思表示であり、病状の悪化や事故の損傷、高齢の影響でそれらの生理学的機能や自然治癒力が完全に喪失してしまった場合には、それ以上の機械・装置・器具に頼った『延命のための延命措置は拒否する』ということである。

病状や意識が回復する可能性がなく、機械・装置がないとそれ以上生存を維持できない状態であれば、ペインケア(苦痛緩和)以外の特別な延命治療はせずに、『不可避な自然死のプロセス』を進めて下さいという意思表示であり、機械や器具につながれずに自然に死んでいくことが私にとって人間としての尊厳を守ることになるのですというのがリビング・ウィルの本質と言えるだろう。

終末期医療や延命措置に関するリビング・ウィル(生存の意志表示書)には決まった定型の書き方があるわけではないが、『書面を書いた日時・自分の名前(氏名・捺印)・本人の意志表示を確認した家族親族友人などの名前(それぞれの人の自署)』を記してから、『病気・事故・高齢で自分に意志表示をする能力がなくなったり自我意識を失う昏睡に陥った時には、延命治療を望まないのでただちに中止して欲しい』といった延命措置の中止を要請する内容を端的に分かりやすく記しておくのが一般的である。

それ以外にも、『回復不能な昏睡や自我のない植物人間になった時には、臓器移植を必要とする方たちに臓器提供をして欲しい』『延命は望まないが今まで自分と関わりを持って治療や世話をしてくれた周囲の人たち、特に家族・友人・医療関係者などには非常に感謝しており、延命措置を中止しても思い残すことはありません』といった内容などを加えて書く人もいる。

この記事は、『前回の記事』の続きの内容になっています。



posted by ESDV Words Labo at 02:49 | TrackBack(0) | り:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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