ウェブとブログの検索

カスタム検索





2014年03月07日

[交流分析のリペアレンティング(re-parenting)]

交流分析のリペアレンティング(re-parenting)

交流分析(TA:Transactional Analysis)のカセキセス派が、幼少期の親子関係に問題やトラウマを抱えているクライエントのために実施した技法が『リペアレンティング(re-parenting)』である。

リペアレンティングを直接的に考案したのは、小児統合失調症の治療法を研究していた精神科医のジャッキー・シフ(Jacqui Schiff)であるが、現在では小児期の統合失調症が診断される症例が殆どなくなっており、リペアレンティングの技法が統合失調症の改善に役立つというエビデンスも積み立てられていない。

リペアレンティングは『再育児法・育てなおし技法』とも呼ばれるように、カウンセラー(心理療法家)が『クライエントの親代わりの役割』を献身的に果たすことによって、『幼少期に受けたトラウマ(心的外傷)・幼少期に学習してしまった間違った適応方略や行動パターン』が改善されていくというものである。

カウンセラーがクライエントの親代わりの役割を果たすというのは、精神分析や一般的なカウンセリングの『禁欲原則』に違背しており、『カウンセラーとクライエントの境界線(適切な距離感)』を崩してしまう副作用(幼児退行の促進・依存性の強化など)が大きいとして非難されることもある。だが、カウンセラーが本当にクライエントの人生の責任の一部を肩代わりするほどの覚悟・責任感があるのであれば、効果そのものはかなりあると考えられている。

リペアレンティングは原則としては、カウンセラーとクライエントが寝食を共にする『寄宿制(共同生活)』が前提とされており、カウンセラーは文字通り『クライエントの親としての役割・アイデンティティ』を確立して、『クライエントの育てなおし』を行っていくことになる。

クライエントの育てなおし技法としてのリペアレンティングは、催眠(暗示療法)などを用いて乳児期まで精神状態を退行させた上で、『擬似親との適切な関係性をもう一度体験しなおす』ことで、『トラウマの回復』『発達課題への再チャレンジ(適応的な心理能力の獲得)』を行っていこうとするかなり密接な人間関係を作り上げていく技法である。

交流分析の理論では、リペアレンティングを実施することで、『不適切で不健全な親(P)の自我状態』を消去して『適切で健全な親(P)の自我状態』を取り入れることができると考えられている。つまり、CP(批判的な親)やNP(擁護的な親)の自我状態が適切に機能するようになれば、『精神状態の安定(自信の回復)+他者とのコミュニケーションの改善』というリペアレンティングの効果を得ることができるというわけである。

現在では、カウンセラー(心理療法家)の負担や責任感の重さから、密接した共同生活を通したリペアレンティング(育てなおし技法)はほとんど行われていないといって良いが、『親の代替的な役割・発言』を通してクライエントの問題状況や精神的な苦悩を改善しようとするリペアレンティングの応用的なアプローチが為されることは多い。またリペアレンティングの適用は、小児統合失調症ではなくアダルトチルドレンの自覚を持つ者や境界性パーソナリティ障害・自己愛性パーソナリティ障害などに変わってきている。



posted by ESDV Words Labo at 05:49 | TrackBack(0) | り:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック