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2014年03月21日

[老年期心理学(psychology of aging)と老年期(senescence):2]

老年期心理学(psychology of aging)と老年期(senescence):2

今までの人生や人間関係の全体を振り返りながら、自分にとっての人生の意味や価値、納得を作り上げていくこと、子・孫の次世代に自分が経験して得た智慧や価値観を継承すること、これから先の人生における希望や目標を新たに見つけ出していくことが『老年期の発達課題』になる。それらの複合的な発達課題の断続的な達成によって『死に対する受容・納得の感覚』が形成されやすくなると考えられている。

老年期心理学(psychology of aging)と老年期(senescence):1

老年期心理学(psychology of aging)では、高齢者の性格傾向(パーソナリティ特性)や心理状態の特徴、発達課題、心理的困難などを研究対象にしているが、超高齢化社会が急速に進行している現代では特に、『増加する高齢者の心理的問題・人生に対する納得感』に対処するための心理学的ケアの重要性が高まっていると言われる。

老年期にはその時期に特有の喪失感やショックにつながる『ライフイベント』があるため、それらのライフイベントに遭遇した時には心理状態が不安定になり人生に対する否定的な絶望の感情が強まりやすいのだが、そういった老年期の心理的危機を克服していくためにも、各種の心理学的知見が応用されることが期待されている。

老年期に特有のネガティブな心理作用をおよぼしやすいライフイベントとしては、『配偶者との死別・心身機能の衰退(体力の衰え)・定年退職(職業的アイデンティティの喪失)・仲間関係の疎遠化・大きな病気や怪我・自分一人でできないことの増加・記憶能力や運動能力の低下・死の接近の感覚』などがある。

これらのネガティブなライフイベントによって、『孤独感・寂しさ・虚しさ・虚無感・憂鬱感(抑うつ感)・嫉妬(妬み僻み)・不安感・焦燥感・絶望感(自暴自棄)』などの苦痛や葛藤を伴う心理状態が形成されやすくなってしまう。これらのライフイベントが及ぼす精神的ショックが、人によっては老年期うつ病や妄想性障害(偏執症のパラノイア)、アルツハイマー型認知症の引き金にもなってしまう。

老年期に典型的な性格傾向(パーソナリティ特性)として指摘されるものには、『融通が効かない・頑固である・わがままである・感情を抑制しづらい・被害者意識や劣等感を持ちやすい・依存性が強く自信がない・自分の価値観を曲げない・価値観や意見の多様性を認められない・自分のやり方や過去の習慣にこだわる』などがある。

老年期の高齢者に対するカウンセリングや心理療法では『知的能力・認知機能が維持されている高齢者を子供扱いし過ぎないこと』『長い年月を生きてきた高齢者の人格性や経験性に対する謙虚な敬意の気持ちを持って接すること』などがあるかないかでカウンセリングの効果が大きく左右されることも多い。

老年期の人に対するカウンセリングでは、クライエント中心療法の基本的態度をベースにして、高齢者の人格や尊厳を無条件に尊重するような受容的態度で接することが大切である。それと同時に、『高齢者が何に悩んでいるか、何を求めているのか、どういった心理状態にありどんな考え方をしているのか』を共感的に丁寧に聞き出していくという積極性も求められる。

クライエントである高齢者を勇気づけて元気づけるために何ができるのかをカウンセラーは真摯な態度で想像力を豊かにして考えなければならず、そこには非指示的な支持技法に留まらない『保証・勇気づけ・助言(アドバイス)・説明・スキンシップ・雑談の付き合い(孤独や閑暇の慰安)・生活支援』などの総合的で積極的な関わり技法が必要になってくる。



posted by ESDV Words Labo at 11:17 | TrackBack(0) | ろ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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