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2014年04月06日

[J.ダラード(John Dollard)とN.E.ミラー(Neal Elgar Miller)]

J.ダラード(John Dollard)とN.E.ミラー(Neal Elgar Miller)

心理学分野でイェール大学グループに所属していたJ.ダラード(John Dollard, 1900-1981)N.E.ミラー(Neal Elgar Miller, 1909-2002)は、1930年代にS.フロイトの精神分析とクラーク・レナード・ハル(Clark Leonard Hull,1884-1952)の新行動主義を統合しようとする当時としては斬新な研究を行っていた。

精神分析と行動主義心理学を統合しようとする研究成果の一つとして、ダラードとミラーの共著である『人格と心理療法(1972)』があるが、この論文は抑圧・転移・抵抗・無意識的内容・リビドー発達(リビドーの退行と固着)といった精神分析の各概念を『学習原理の概念』で置き換えて説明しようとするものであった。

例えば、過去の重要な人物に向けていた強い感情を、現在の人間関係に向け変えてしまう『転移』は、学習原理の概念に置き換えて考えると、ある特定の刺激だけに対する反応がそれ以外の刺激にも反応するようになる『般化(刺激般化)』で説明することができる。J.ダラードとN.E.ミラーの『人格と心理療法』の原題は、『Personality and psychotherapy』であるが、当時この論文は心理学界ではあまり評価されることはなく、ダラードとミラーはその後に精神分析の理論的研究からは離れていった。

N.E.ミラーは神経症・心身症の症状形成メカニズムを、学習心理学(行動主義心理学)の視点から分析する研究を行い、神経症・心身症の各種の症状を『恐怖・不安を回避しようとするための自己防衛行動(コーピングの対処行動)』と解釈していた。こういった心身症の苦痛と恐怖・不安の回避行動を結びつける考え方から、ミラーは『がん恐怖症に対するコーピング行動の研究』も行っている。

ミラーはクルト・レヴィンの『場の理論』や『コンフリクト理論(葛藤理論)』についても行動主義の立場から再解釈しているが、心理学実験の功績としてはバイオフィードバックを応用した自律神経系の反応のオペラント条件づけの成功がある。

ダラードとミラーは『社会的学習(social learning)』という心理学の概念を開発したことでも知られるが、彼らは『模倣』の社会的学習は学習者がモデルと同じ行動を実際に遂行して直接強化を受けることで成立すると考えた。実際に同じ行動をやってみなければ学習できないという点は、学習者がモデルの行動をただ観察するだけでその行動を学習することができるとした、アルバート・バンデューラの代理強化による『モデリング(観察学習)』とは異なっている。

A.バンデューラは、子供がモデルの暴力行為(攻撃行動)を観察するだけで攻撃性が高まるという『モデリング』の実証例を上げたりもしたが、ダラードとミラーにも攻撃行動にまつわる研究として『フラストレーションと攻撃性(Frustration and aggression, 1939)』がある。フラストレーション(欲求不満)が強くなるにつれて攻撃性が高まるというダラードとミラーの仮説は、『フラストレーション‐攻撃仮説』と呼ばれている。



posted by ESDV Words Labo at 07:38 | TrackBack(0) | た:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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