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2014年04月08日

[J.G.タルド(Jean Gabriel Tardo)]

J.G.タルド(Jean Gabriel Tardo)

ジーン・ガブリエル・タルド(Jean Gabriel Tardo,1843-1904)は、『社会名目論』を提起したフランスの社会学者である。社会名目論とは社会を成立させる根本的要因を『人による人の模倣』に求める立場の理論である。個人間の相互的な心理プロセスである『模倣(観察学習)』、複数の人間が同じ情報を元にして判断や行動をする『情報の共有(マスメディアの機能)』によって、近代社会が構成されると考えた。

J.G.タルドの著作である『模倣の法則(Les lois de l'imitation, 1890)』は流行理論の古典として評価されている。タルドは社会の流行の現象について『流行は滝のように上から下に流れる』と述べたが、これはマスコミ(マスメディア)によって人々の間に『共通の興味関心・嗜好・価値観』が形成されることを意味しており、上流のマスメディアや専門家(オピニオンリーダーの権威者)が下流の大衆に影響を与えるというのである。

ある人のファッションや言動を、他の人が観察して模倣することの連鎖によって『流行』が生み出される。大衆(他者)から憧れられたり模倣されたりする人はファッションリーダーやオピニオンリーダーなどと呼ばれるある種の権威者(偶像的なイコン,アイドル)である。J.G.タルドは、政治的領域と関係する社会学における『公衆(piblic)』の概念の提唱者でもある。

フランスの社会心理学者ル・ボンは、『群集』を合理的判断ができずに感情・気分・衝動に突き動かされて行動するネガティブな存在として定義した。群衆の『集団心理(群衆心理)』によって、社会秩序や治安・安全が乱される恐れがあるとして警戒したが、J.G.タルドのいう『公衆』は群衆よりも理性的かつ主体的な個人の集まりというポジティブな意味合いが込められている。

J.G.タルドは『世論と群集(L'opinion et la foule, 1901)』において公衆(パブリック)を定義しているが、公衆は群集とは異なって一つの場所に集積するのではなく空間的に散在しており、新聞をはじめとする近代的なマスコミからの知識・情報を共有して公共的・政治的な議論を活発に戦わせる存在である。

タルドのいう公衆(パブリック)は集合的な『世論』を形成する主体であり、マスメディアと相互作用する合理的な思考力と政治的な関心の広さを持っている。各国に主体的かつ責任的な公衆が生まれるか否かは、『市民の自由・民主主義の政治体制』の可能性と深い相関関係があると考えられている。

公衆と討論、民主主義の関係性については、ドイツの哲学者ユルゲン・ハーバーマスの『公共圏』の概念と思想によって、更に発展的な哲学的考察が行われている。



posted by ESDV Words Labo at 09:34 | TrackBack(0) | た:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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