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2014年05月04日

[中村弘道(なかむらひろみち)]

中村弘道(なかむらひろみち)

心理学者の中村弘道(Nakamura Hiromichi, 1900-1988)は、澤田慶輔(さわだけいすけ)らと共に、昭和初期の日本のカウンセリング心理学を主導した先駆者である。明治33年に熊本県に生まれた中村弘道は、熊本の旧制五高を経て創設されたばかりの東京帝国大学の心理学科に進学して、基礎心理学とカウンセリング心理学を学んだ。

東京帝国大学を卒業した後には、旧制の浪速高校・一高・東京高校で教職に就いて教鞭を取っていたが、旧制高校の教授職を歴任した後に東京帝大の教授に就任した。中村弘道は、精神医学や神経科学を基盤にして患者の精神疾患を治療しようとする『精神療法(サイコセラピー)』とカウンセリング心理学や人間関係を基盤にしてクライアントの心理的問題の解決を支援したり人間的成長を促進したりする『カウンセリング』を区別すべきだと主張した。

中村弘道は『日本カウンセリング学会』『日本学生相談学会』の創設に関わった初期の中心的メンバーであり、両方の学会の理事長を長期にわたって続ける中で、日本におけるカウンセリングの啓蒙や普及、実践に大きな貢献をした人物でもある。中村は『吉田基金』からの資金援助を受けて、アメリカから一流のカウンセリング・サイコロジストを招き、講義・講演だけではなくワークショップを開催してもらい、日本のカウンセリング教育と研究活動の質を向上させた。

中村は心理学者の原野広太郎らと協力して、現在の臨床心理士のような『心理臨床家(カウンセラー)の認定制度』の設立にも尽力し、カウンセラーの社会的な認知度・信頼度の向上を図ろうとした。臨床心理士ほどの本格的な資格試験は導入しなかったものの、カウンセリング学会が認定する『学会認定カウンセラー制度』を発足させたりもしている。

精神分析をはじめとする特定の心理療法・カウンセリングの学派にとらわれない『折衷的かつ中立的なカウンセリング教育』を工夫して、学会主催のカウンセリング研修では、それぞれのクライアントのパーソナリティや問題状況、価値観に合った『カウンセリング技法の選択』が望ましいことを示した。

中村弘道はカウンセリングという用語そのものがまだ日本に定着していなかった時代に、カウンセリングの基本的な考え方や実践法、研修法を教育した人物であり、心の病気を対象にする精神療法とは異なる『心理的問題の解決・人間的な成長や成熟』といったカウンセリング独自のヒューマニスティックな目的を打ち立てた功績もある。

posted by ESDV Words Labo at 17:45 | TrackBack(0) | な:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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