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2014年05月17日

[ロジャーズ・スキナー論争]

ロジャーズ・スキナー論争

クライエント中心療法(来談者中心療法)を創始して『カウンセリングの神様』と呼ばれたカール・ロジャーズ(C.R.Rogers,1902-1987)は、有機体的な存在である人間は誰もが『成長・適応・健康』へと向かう実現傾向を持っているという前提を提示した。

C.R.ロジャーズはカウンセラーや周囲の人間が、『傾聴・共感的理解・無条件の肯定的受容』などの態度で悩んでいる人を支持して上げれば、その実現傾向が促進されて問題は解決に向かうと考えた。

それに対して、人間の行動の生起・消去を賞罰の強化子によってコントロールしようとする『徹底的行動主義』を唱えたB.F.スキナー(B.F.Skinner, 1904-1990)は、人間の行動は刺激に対する反応あるいは強化子を用いた学習によって決定されるという機械的な人間観を提示した。

B.F.スキナーは、人間はC.ロジャーズのいうような生得的な実現傾向を開花・促進することによって問題を解決するのではなく、報酬や罰の強化子によるオペラント条件づけの学習によって正しい行動(問題解決的な行動)を身につけていくのだとした。

カール・ロジャーズの人間の潜在的・生得的な実現傾向の可能性を信じる『自己理論(ヒューマニスティック心理学)』は、B.F.スキナーの強化子による条件づけで人間の行動を誘導・統制しようとする『行動主義(行動主義心理学)』とは対立する理論だったが、この二人の間で1956年に『相互の人間観・世界観・科学認識』を批判するような論争が起こった。

この二人の論争を『ロジャーズ・スキナー論争』と呼んでいるが、論争の具体的な中身や双方の人間観・心理学を反映した主張は『サイエンス(Science)』の雑誌(1956年11月号)に掲載された。『サイエンス』で紹介されたロジャーズ・スキナー論争の表題は、『人間科学の発展および行動の統制』というものであった。

カール・ロジャーズが、人間は主観的に価値のあると感じる行動を選択できる自由意思を持った存在であると述べて、『科学的知識の増大』によって人間は統制から解放されてより自由かつ自己指示的な存在になるのだと主張した。B.F.スキナーはそのロジャーズの主張を否定して、人間は自由に行動を選択するのではなく価値観を含めた諸条件によって行動が強化されているに過ぎず、『科学的知識の増大』は人間を統制から解放するのではなく『より効果的かつ効率的な統制』を可能にするのだとした。

カール・ロジャーズが人間をより自由かつ自己指示的にする『人間科学の明るい可能性』を楽観的に信じていたのに対して、B.F.スキナーのほうは人間の行動をより確実に予測しやすくなり、より効率的に行動を統制(操作)しやすくなる『客観科学(行動主義)の影響力の高まり』を確信していたのである。



posted by ESDV Words Labo at 00:31 | TrackBack(0) | ろ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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