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2014年06月05日

[A.S.ニイル(A.S.Neill):3]

A.S.ニイル(A.S.Neill):3

ニイルの自由主義的な教育思想は、生徒の自由を尊重することで『生徒の主体性・選択に対する責任感・自己への信頼』が強まるという教育効果に重点があり、規律訓練的な学校教育と自由主義的な学校教育を比較した場合でも、生徒に授業の出欠の自由を認めているからといって『学業成績の低下・自己中心的なわがまま・秩序を乱す行動の増加・無気力な意欲低下やさぼり』は見られなかったという。

A.S.ニイル(A.S.Neill):2

だが、権威主義の規律訓練的な学校教育よりも、特別に優れた学業成績が出せたり、欠席や怠学を減らせたりする効果が実証されているわけではなく、『一般的な学校教育に上手く適応できない不登校・ひきこもり・いじめなどを経験した生徒』がもう一度学校に通学しやすくなるというフリースクールの補完的な役割を実証したというレベルに留まっている。

大人である教師・職員と概ね対等な権利が与えられているサマーヒル・スクールの生徒たちは、一般の同世代の子供と比較すると、『相互性を重視する大人びた態度・問題解決的な議論を好む傾向・自分の行動に対する責任感』が見られやすい特徴があるという。

A.S.ニイルのサマーヒル・スクールに象徴される自由教育の根本理念は、『子どもを学校に合わせるのではなく、学校を子どもに合わせる』『問題の子どもというものは決してない。あるのは問題の親(大人)ばかりだ』というニイル本人の言葉に集約されている。ニイルの自由教育・自由学校の思想は、現代においても権威的な学校教育や人間関係に適応できない『不登校・いじめ・中退者・ひきこもり』などの問題状況を抱えた子どもたちに、『オルタナティブな選択肢・学びたい人の学習権の保障』を与え続けている。

A.S.ニイルの邦訳者としては、大阪市立大学教授の職を辞して、自分自身もフリースクールである『きのくに子どもの村小学校(現在・きのくに子どもの村学園)』を創設した堀真一郎(ほりしんいちろう)が知られている。『問題の子ども』『問題の親』『クビになった教師』などを含む、ニイル著作集全10巻が刊行されている。

posted by ESDV Words Labo at 06:38 | TrackBack(0) | に:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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