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2014年06月28日

[セルヴィニ・パラツォーリ(Mala Selvini Palazzoli)]

セルヴィニ・パラツォーリ(Mala Selvini Palazzoli)

イタリアの家族療法の女性精神科医セルヴィニ・パラツォーリ(Mala Selvini Palazzoli)は、家族療法の分野で『ミラノ派(システミック派)』を創始した主要メンバーの一人である。家族療法は、家族を個人(要素)が集まって相互作用を及ぼしあう『一つのシステム(集合体)』と見なす家族システム論を前提としている。

パラツォーリは特に家族の中での『悪者探し』を否定していて、家族の特定の誰かが悪い(病気)なのではなく、他の家族とのコミュニケーション(意思疎通)の障害・悪影響によって問題が生み出されているのだとした。セルヴィニ・パラツォーリのミラノ派(システミック派)の家族療法は、『戦略的家族療法』と呼ばれるように、戦略的に家族間の相互作用の問題点(ある家族が他の家族に与えている悪影響)を解決していこうとする特徴を持っている。

『問題を持つ誰か(悪者・病者)』を家族の中で探すのではなく、戦略的にそれぞれの家族が請け負っている役割とおよぼしている影響を分析して、家族システムを正常化していくことがミラノ派の家族療法の目的なのである。パラツォーリは家族同士がお互いに悪影響を与え合っている(ある家族が別の家族の悪い部分を引き出している)という循環的な構造に気づいてもらうために、『循環的質問法』と呼ばれる質問法を開発している。

家族療法における循環的質問法は、『自分の言動が他の家族にどんな影響を与えているか考えてみてください・いつも家族にどんな言葉をかけたりどういった態度を取っているか思い出してみてください』といった質問項目であるが、これらの質問は『家族システムにある循環的構造(お互いが悪影響を与え合ってぐるぐる循環している構造)』に気づいてもらうため(気づいて変わってもらうため)のものである。

パラツォーリは、家族の問題や症状には『家族システムの平衡化・安定化』としての好ましい作用もあるとして、『急激な家族関係の変化』よりも『漸進的・段階的な家族関係の変化』のほうが望ましいとした。ミラノ派の家族療法では、漸進的・段階的に家族関係や相互作用を修正していくためには、他の家族メンバーの言動に対して『肯定的な意味づけ(positive connotation)』をしていく必要があるとしている。 『肯定的な意味づけ』は、物事の見方・考え方を肯定的に変容させていくという作用機序が、『認知療法』に似たところのある技法である。

セルヴィニ・パラツォーリは戦略的家族療法を発展させていく基本コンセプトとして、『治療チームの協働的なアプローチ(リエゾン精神医学的な手法)・家族システム論のような円環的因果論・パラドックス(逆説療法)』などを提唱している。本来の治療目的とは正反対の指示・教示を与えるパラドックスを利用したパラツォーリの逆説療法(paradoxical therapy)については、M.S.パラツォーリ『逆説と対抗逆説(星和書店)』という統合失調症の患者がいる円環的な家族関係を扱った邦訳書も出版されている。



posted by ESDV Words Labo at 06:28 | TrackBack(0) | は:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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