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2014年07月09日

[ハインツ・ハルトマン(Heinz Hartmann)]

ハインツ・ハルトマン(Heinz Hartmann)

ハインツ・ハルトマン(Heinz Hartmann)は、オーストリアのウィーン生まれのユダヤ系の精神科医で、ナチスドイツの迫害に遭って1941年にアメリカに渡っている。S.フロイトの末娘アンナ・フロイトと並んで、精神分析の主流だった自我心理学派の重鎮として知られ、葛藤に対する自我防衛機制ではない『強い自我(健全な自我)』についての臨床的な研究を進めた。

H.ハルトマンは、自我防衛機制とは異なる『思考・知覚・記憶・運動制御』といった自我の適応機能に注目して、現実原則(外的現実)に適応しようとする自我の機能と構造を明らかにしようとした。ハルトマンは自我機能を大きく『一次的自律機能』『二次的自律機能』に分類して、人間の自我には基本的な外界(外的現実)の認識機能だけではなくて『後天的な学習能力・応用能力』があるとした。

H.ハルトマンの定義する自我の『一次的自律機能』とは、『知覚・思考・言語・認知・記憶』などに代表される外的現実を認識するための機能のことである。『二次的自律機能』とは、後天的な経験・学習によって新しい知識や適応方略を身につけていく機能(現実に対する応用的な対処能力)のことである。

H.ハルトマンは、現実適応のための実際に役立つ自我機能を10個定義している。

1.現実検討(現実判断能力)

2.合理主義

3.自己と外界(対象)に対するリアリティ

4.順序・論理のある思考プロセス

5.欲求と感情の調整

6.自我防衛機制

7.対象恒常性の確立(表象レベルの対象関係)

8.支配‐達成の能動性

9.適応的な退行

10.自我機能のバランスの取れた統合

ハルトマンは自我の適応機能と発達過程について体系的な研究を行い、ジークムント・フロイト以後の精神分析において『自我心理学の正統派路線』を継承した精神分析家である。

アンナ・フロイトとエルンスト・クリスと共に編集した『児童の精神分析的研究』では、大人だけではなく児童期の子供にも精神分析的な発達論や臨床技法を適用できるということを示そうとした。自我が十分に発達していない子供に精神分析療法が有効であるか否かということは、アンナ・フロイトとメラニー・クラインの論争の原因にもなった。

自我心理学の目的は『エス・超自我の強度』の適切な調整によって心理的葛藤を解消することであり、『自我の強化(自我の適応機能の調整)』によって現実的な問題解決(心理的苦悩の緩和)を自律的な態度で進めていけるようにすることであった。



posted by ESDV Words Labo at 11:30 | TrackBack(0) | は:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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