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2014年08月05日

[ジェローム・S・ブルーナー(Jerome Seymour Bruner)]

ジェローム・S・ブルーナー(Jerome Seymour Bruner)

アメリカの認知心理学者ジェローム・S・ブルーナー(Jerome Seymour Bruner,1915-)は、1914年にハーバード大学で博士号を取得してから『学習障害児の認知過程の研究』『知覚と欲求(動機づけ)との相関関係の研究』に従事していた。

1961年には、ハーバード大学内に『認知研究所』を創設して児童の認知の発達に関する研究を精力的に行ったが、この研究は認知発達論(思考発達論)で知られるジャン・ピアジェの影響を受けてのものだったと言われる。

J.S.ブルーナーのニュールック心理学に代表される認知理論は、ジャン・ピアジェとレフ・ヴィゴツキーの表象様式の発達理論を統合することを目的にしており、ブルーナーは人間は外部世界の正しい情報を認知するために『3種類の表象化のプロセス』を活用していると考えた。ブルーナーは認知理論の構築において『概念形成の方略・表象機能(イメージ生成機能)の発達・言語の獲得』についての理論的かつ実証的な研究を行っている。

J.S.ブルーナーの児童の認知能力の発達研究は、当時心理学の主流であった“S-R理論(刺激に対する反応)”に基づく行動主義心理学(行動科学)を実証的に批判しようという目的も持っていた。

知覚と欲求(動機づけ)との関連を研究したブルーナーは、人間の主観的な認知・欲求・経験(物事の受け取り方の要素)によって知覚の内容が変化することがあるという『ニュールック心理学』を提唱した。ニュールック心理学というのは、人間の主観的要素によって知覚される内容(認知の内容)が変わることがあるという考え方に基づくものであり、反生物学的知覚理論としての『社会的知覚理論』だった。

ブルーナーは行動主義心理学が想定するシンプルな『生物学的な環境適応理論(=外部の刺激に対する反応によって行動が規定されるという仮説)』に反対して、人間の行動には必ず『認知プロセスで構成される認知モデル』が影響を与えていると考えたのである。また教育学の分野にも熱烈な関心を持っており、初等教育・中等教育の自然科学教育を改善するために『ウッヅホール会議』を主催した。

1959年に開催されたウッズホール会議での教育方法の改善の成果は、『教育の過程,1963年(The Process of Education, 1960年)』として出版されている。『教育の過程』では、それぞれの子供にとって最適な教材の選択と教え方の工夫を模索しており、子供の各発達段階における学習の『レディネス(準備状態)』を構築することの大切さを訴えている。

J.S.ブルーナーのウッズホール会議における教育方法の研究は、1960年代の『教育の現代化運動』とも深いつながりがある。この教育の現代化運動は、1957年のロシアのスプートニク打ち上げ成功に対して、アメリカが宇宙航空技術での敗北感を味わった『スピートニク・ショック』の影響を受けて展開されたものである。

アメリカがソ連との宇宙開発競争で勝利するために、『自然科学教育の強化+教科書内容の改善』を目的としたものであり、子供が科学的な知識や思考方法を受け容れるためのレディネス(準備状態)をできるだけ高いレベルまで引き上げようとしていた。

しかし、ブルーナーの教育の現代化運動には、『科学学習のレディネス(準備状態)を高いレベルにして教材の質を高いものにすれば、どの教科でもどんな段階の子供にでもより効果的な教育が可能である』といった現実の生徒間の学力差・能力差を甘く見るような傾向があった。

ブルーナーは1972年からの8年間にわたってイギリスのオックスフォード大学教授を勤めており、イギリスでは特に発達早期の乳児の発達研究に従事していた。アメリカに戻ってから、1983年には自分の自伝を上梓している。

posted by ESDV Words Labo at 07:51 | TrackBack(0) | ふ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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