ローレンス・M・ブラマー(Lawrence M. Brammer)
アメリカのカウンセリング心理学者・心理臨床家のローレンス・M・ブラマー(Lawrence M. Brammer,1922-)は、複数のカウンセリング技法を『クライエントの心理状態・問題の性質・ニーズ(目的と必要)』に合わせて使い分けることを提唱した。カウンセリングを実際的で効果的な『折衷主義』へと移行させることに貢献した人物である。
特定の学派の理論や技法だけにこだわらない『折衷主義のカウンセリング』の構想を進めた心理臨床家(カウンセラー)には、ローレンス・M・ブラマー以外にも、『マイクロ・カウンセリング』を体系化したアレン・アイビィなどがいる。
ブラマーは、ワシントン州立大学の心理学部で長く教授(名誉教授)の地位にあり、体系的なカウンセラー教育や実践的な対人援助技術の指導で大きな功績を残している。スタンフォード大学の教育学部には、優秀かつ歴史的な功績を残した研究者を表彰する『ホール・オブ・フェイム(The Stanford University College of Education Hall of Fame)』があるが、ブラマーはここで不朽の功績を残したことを讃えられ殿堂入りしている。
ブラマーはアメリカ心理学会(APA)のカウンセリング心理学部会で長く会長を務めていたが、1980年代から発達臨床心理学や発達臨床カウンセリングの分野にも意欲的な関心を示すようになった。ブラマーは中年期における人生の転回点(過渡期)や過渡期における適応上の危機・諸問題を研究対象にしたが、その後は老年期の精神的苦悩や発達課題(死の受容)などの研究にも着手している。
ローレンス・M・ブラマーは日本では知名度の余り高くないカウンセリング心理学者(カウンセラー)であるが、フルブライト派遣講師や日本学生相談学会の特別講師として来日経験があり日本文化にも興味を持っていた『知日派』でもあった。1970年代頃に、日本でよく読まれたブラマーの著書としては『治療心理学,1969年(Therapeutic Psychology,1960年)』や『人間援助の心理学,1978年(The Helping Relationship Process and Skills,1973年)』がある。
現在でも日本で手に入るブラマーのカウンセリング関連の著書には『対人援助のプロセスとスキル』や『人生のターニングポイント―転機をいかに乗りこえるか』、『人間援助の心理学 新しい生きがいの探求』などがある。