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2014年10月04日

[カール・マンハイム(Karl Manheim)と『イデオロギーとユートピア』:3]

カール・マンハイム(Karl Manheim)と『イデオロギーとユートピア』:3

虚偽意識の思想化であるイデオロギーは、個別の人々の利害で規定された虚偽である『部分的イデオロギー』と、社会構造の全体的な仕組みに規定された全体的な虚偽である『全体的イデオロギー』に分類されている。全体的イデオロギーは更に自分自身の認識や価値観を含めた『普遍的イデオロギー』と自分自身の認識や価値観を除いて他者の思想や主張だけを解釈する『特殊的イデオロギー』とに分けられる。

カール・マンハイム(Karl Manheim)と『イデオロギーとユートピア』:2

自分の知識・思想にもイデオロギー性と存在拘束性を認める『普遍的イデオロギー』は、更にその思想・知識にまつわる価値判断を行うか否かによって『評価的イデオロギー』『没評価的イデオロギー』に分類されている。

全体的イデオロギーを一般的・歴史的な思想として把握して論評するためには、相手の立場・思想だけを分析するのではなく、自分自身の立場や利害も含めて分析していく必要があるのだという。こういった全体的イデオロギーの一般的・歴史的な研究においては、特定の社会階層の利害や立場から自由に浮動する知識人の役割が重要だとしており、自由に浮動する知識人(インテリゲンチャ)の活動によって『全体的イデオロギーの中立性・客観性』がある程度まで担保されることになる。

マンハイムは『イデオロギーとユートピア』の中で、主要な政治思想を5つのタイプに分類したりもしている。

官僚主義的保守主義……行政と法律に基づく秩序(法と判例の支配)を最重視する政治思想であり、政治の中心は行政の実務と法律の策定・運用を実際的に掌握している官僚機構である。

保守主義的歴史主義……過去の歴史的展開や歴史上の英雄・政治家が築き上げてきた伝統的な価値観や社会階層、仕組みを保守しようとする政治思想であり、基本的には既存社会の支配的階級(貴族的階級)や既得権益者によって支持されるもので『新しい変化・流行』に対しては否定的な態度を示す。

自由民主主義・市民思想……自由で平等な個人が市民社会を形成して、すべての社会構成員が近代的な合理的知性と人権思想を重んじるべきとする政治思想であり、政治の中心は主権者である市民(国民)にある。政治とは自由主義・民主主義・人権保護・市民社会・世界平和(国連調停主義)といった理想の観念を実現していくプロセスであると考える。

観念的な社会主義・共産主義……資本家と労働者の階級闘争を前提として、カール・マルクスの史的唯物論の必然的な歴史プロセスの展開を説く社会科学の理想主義的な政治思想(すべての人間が抑圧・搾取・貧困から解放されると説く政治思想)である。資本家・企業から搾取されている労働者階級が武装蜂起する共産主義革命を起こすことで、搾取・格差・貧困のないプロレタリアート独裁(労働者階級の独裁)による自由で平等な政治が実現するという考え方である。

ファシズム……独裁的な権力者や政府・政党に国民すべてが従属して協力すべきとする全体主義の政治思想である。知識・資本のない大衆を蔑視・扇動してコントロールしようとする独裁者・知識人と、現行社会において希望や幸せ、豊かさを実感することができない現状を大きく変えたいと願う大衆層(現在の不幸・貧困の原因が外国・異民族・被差別民にあると思い込む大衆層)が結合することで異論排除・反対者処罰のファシズム体制が確立していく。

マンハイムは著作『変革期における人間と社会(1962)』では、革命と反革命を代替する第三の道の方向性として『自由のための計画(近代的価値・人権の実現のための計画)』を主張したりもしている。

posted by ESDV Words Labo at 15:24 | TrackBack(0) | ま:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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