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2014年10月27日

[アーノルド・ラザラス(Arnold A. Lazarus)]

アーノルド・ラザラス(Arnold A. Lazarus)

アーノルド・ラザラス(Arnold A. Lazarus,1932-2013)は、息子のクリフォード・ラザラスと共に、行動療法の権威として知られるアメリカの臨床心理学者であり、心理学論文では行動療法の『系統的脱感作法』の実践者として言及されることも多かった。

行動療法はクライエント本人にしか感じることのできない『主観的な内面心理(思考・感情・気分)』ではなく、外部の第三者(専門家)によって観察・測定することができる『客観的な行動』をセルフモニタリングや治療の対象にする心理療法である。

系統的脱感作法(systematic desensitization)は段階的に不安・恐怖・緊張を感じる対象に暴露させていってその苦痛な感覚に慣れさせていくという行動療法の技法の一種であり、現在でもパニック障害や全般性不安障害、恐怖症の治療法に利用されることが多い。不安や恐怖、緊張を感じる対象(出来事・人物)に直接的に向き合わせる行動療法をまとめて『曝露療法(エクスポージャー)』と呼ぶこともある。

曝露療法には弱い不安を感じる対象から強い不安を感じる対象へと段階的に暴露していく『系統的脱感作法』だけではなく、一気に最も強い恐怖・不安を感じる対象に暴露させることで回避性(緊張性)の精神症状をショック療法的に解消しようとする『フラッディング(flooding)』と呼ばれる技法もある。

アーノルド・A・ラザラスの行動療法分野における最大の功績は、1970年代に行動の多次元的な側面に焦点を当てて改善しようとする『多次元様式行動療法』を開発して普及させたことである。多次元様式行動療法は現在でいうエビデンスベースド(科学的根拠に基づく技法)を重視した心理療法であり、臨床的・経験的に実証された技法という意味で『マルチモード法』と呼ばれた。

一般的な行動療法に『マルチモード法』『総合性』を加えたものが多次元様式行動療法である。ここでいう行動の多次元的な側面というのは『行動・感情・感覚・イメージ・認知・対人関係・薬物の影響・身体的状況』のことを指していて、これらの多次元的側面のアセスメントと治療を行っていくことになる。

多次元様式行動療法の技法と理論について発表したアーノルド・A・ラザラスの論文が『Multimodal behavior therapy:Treating the "BASIC ID"』であり、多次元様式行動療法の基礎理論は『BASIC ID理論』と呼ばれることもある。BASIC ID理論に基づく多次元様式行動療法は、アーロン・ベックの認知療法やアルバート・エリスの論理行動情動療法(REBT療法)にも影響を与えることになった。ラザラスは集団精神療法の分野にも興味を持ち、『集団的脱感作法』の臨床研究も行っていた。

後年は、ニュージャージー州のラトガース大学でカウンセリング心理学の教授を務めたが、ラザラスの著書には専門的な心理療法やカウンセリングの本だけではなく、一般向けの人生哲学・自己啓発のような内容の本も多くある。日本で邦訳されている著書には、『マルチモード・アプローチ――行動療法の展開』『あなたを縛る「思い込み」から脱け出す法―信じてはいけない40の教え』『秘密があるほうが、男と女はうまくいく』などがある。



posted by ESDV Words Labo at 00:46 | TrackBack(0) | ら:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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