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2014年10月30日

[A.A.リエボー(Ambroise Augste Liebault)1:リエボーとベルネームのナンシー学派]

A.A.リエボー(Ambroise Augste Liebault)1:リエボーとベルネームのナンシー学派

A.A.リエボー(Ambroise Augste Liebault,1823-1904)は19世紀のフランスの催眠療法家であり、人間の意識を催眠状態に導く『催眠磁気(動物磁気)』というものを仮定して、『磁気術』という独自の暗示的な催眠を行っていた。

近代的催眠の起源はフランツ・アントン・メスメル(Franz Anton Mesmer 1734-1815)『メスメリズム(動物磁気説に基づいた催眠)』にあると言われるが、リエボーの師匠筋に当たるのはポルトガルの宗教家ファリア師である。ファリア師は言語的暗示を初めて実用化した人物とされ、催眠を解除した後にも暗示効果(アンカリング効果)が残存する『後催眠』の心理現象にも気づいていたという。

リエボーは公的な権威や地位に依拠したセラピストではなく、常に大衆の中にあって病気や悩みを緩和しようとした人物であり、治療代を支払う余裕のない貧しい人々には無償で催眠療法を施していたという。市井の人々の中にあってその病気や苦悩に寄り添いながら無料で治療を行っていたことから、『善良なリエボーおじさん』という渾名(あだな)が付けられたりもした。

しかし、人間(動物)全般に生来的に備わっていると仮定される動物磁気には科学的根拠がなかったため、リエボーの催眠療法は効果がないとして『インチキ医師・ペテン治療』という批判や軽蔑を浴びて経済的に困窮した時期もあった。リエボーの窮地を救ったのが、フランスの内科医学会の重鎮であったナンシー医学校教授のベルネーム(Hippolyte-Marie Bernheim, 1840-1919)であり、ベルネームはリエボーの催眠療法の言語的暗示の有効性を強調した。

その結果、A.A.リエボーとH.P.ベルネームは『ナンシー学派』という催眠磁気説と催眠療法を中心とした精神療法の学派を立ち上げることになったが、ナンシー学派は催眠現象は誰にでも起こり得る心的現象(暗示効果)という主張を展開したため、催眠現象をヒステリーの変形と見なすジャン・マルタン・シャルコー(Jan- Martin Charcot ,1825-1893)と理論的に対立した。

リエボーとベルネームのナンシー学派に対して、ジャン・マルタン・シャルコーが率いた神経科医の学派を『サルぺトリエール学派(パリ学派)』と呼んでいる。

posted by ESDV Words Labo at 14:41 | TrackBack(0) | り:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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