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2007年05月05日

[ゲシュタルト療法のルール・自立的人間を目指すためのゲーム(体験的技法)]

ゲシュタルト療法のルールとゲーム・自立的人間を目指すためのゲーム(体験的技法)

ゲシュタルト心理学を前提とするゲシュタルト療法では、過去や未来に執着せず『今、ここ』から始めて感情と行動を変容させようとする。過去の不快な情動や記憶、人間関係の失敗に囚われると神経症的な症状が発現するが、ゲシュタルト療法では『現在の感情・感覚・長所への気付き(洞察)』を通して『自分の全体性・統合性』を取り戻そうとするのである。自分の全体性や統合性を取り戻す為の『体験的(身体動作的)な技法』のことをゲシュタルト療法では『エクササイズ(exercise)』と呼び、エンプティ・チェアやホットシートなど様々な技法が開発されている。

「あっ、そうだったのか」という『今、ここ』における感覚的(身体的)な気づき(洞察)によって、自分自身の個性と信念を肯定的に受け止められるようになれば、『他人の行動(発言)』『過去の記憶(思い出)』『生活環境の変化』に必要以上に惑わされることがなくなる。「自分の日常の人間関係(家族関係)を再現するロールプレイング」などを取り入れた体験的なセラピーを行うことで、本来の自己に気づくことができる。今まで抑圧していた感情(喜怒哀楽)や無視していた思考(相手・物事が好きか嫌いか)に気づくことで、どのような発言や行動をすれば心理的ストレスを溜め込まず「自然な自分の人生」を歩めるのかが分かってくるのである。

ゲシュタルト療法の理想とする人間観は、自分の人生と行動に対して自分で責任を取ることができる『自立的な人間(自立人間)』である。ゲシュタルト療法の始祖であるフリッツ・パールズ(F.S.Perls)は、自分で自分の人生の責任が取れず『今、ここ』における有効な決断ができない人間を神経症的な『未熟な人間(未熟人間)』と呼び、ゲシュタルト療法では『未熟な人間』から『自立した人間』への変容を促進することが主要な目標だと訴えた。

今現在の感覚的(身体的)な気づきを重視する『ゲシュタルト療法のルール(基本原則)』には、『今、ここの原則・感覚的な気づきの継続・「我と汝」の実存的関係』などがある。ゲシュタルト療法では、自分や自分と関係のある他人の話を、三人称を用いて他人事のように噂話で話すことを禁止しており、これを『噂話の禁止』という。噂話をするとどうしても、過去の問題のとめどない思い出話や昔の人間関係の非生産的な愚痴になりやすいからであり、ゲシュタルト療法では、クライエントの主訴を『現在形の言語表現』で感情を込めてリアルに語ってもらうことに治療面接上の意義がある。『我と汝の実存的関係』とは、心理面接で出会うカウンセラー(心理臨床家)とクライエントが一期一会の精神を持って、『面接構造の限られた時間』に集中し『お互いの人間性と感情性』を尊重し合うことである。

自分の心理状態と行動選択に所有感と責任感を持てる人間が『成熟した人間』であり、ゲシュタルト療法では、クライエントをそういった成熟した人間として取り扱う為の『ゲシュタルト療法のゲーム』を行うことがある。上記したゲシュタルト療法のルールが、基本的な治療面接(心理面接)の枠組みであるとすれば、ゲシュタルト療法のゲームとは『今、ここでの身体的気づき』を促進するための具体的な技法(行動実験)であり場面設定である。

パールズのゲシュタルト療法とカール・ロジャーズのクライエント中心療法(来談者中心療法)の最大の違いは、ロジャーズは共感的な理解(支持的な言動)を基軸として「他律的な自己洞察(気づき)」を促すが、パールズはクライエントにゲーム(体験的な各種技法)を仕掛けて自分自身の体験や感覚で気づかせようとするということである。ゲシュタルト療法では、カウンセラーの共感的な言葉や精神分析家の分析的(権威的)な解釈は与えられず、「自律的な自己洞察(自分自身の気づき)」を進めるためのゲーム(体験的な技法・課題)が与えられる。そのゲームを通して『自分固有の問題(未完の行為)』に向き合い、自分の力で問題を体験的に克服する『自立的な行動』を形成していくのである。



posted by ESDV Words Labo at 12:48 | TrackBack(0) | け:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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