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2014年11月09日

[テオドール・リッツ(Theodore Lidz)]

テオドール・リッツ(Theodore Lidz)

テオドール・リッツ(Theodore Lidz, 1910-2001)は、アメリカ合衆国の精神科医・精神分析家で、統合失調症の家族歴の臨床研究で知られた人物である。英語の読みでセオドア・リッツと呼ばれることもあるが、古典的な統合失調症の病因論(心因論)では権威者として扱われることも多かった。

イェール大学医学部の精神科教授として働いていた時代に、初期の統合失調症の『家族歴・家族因』の研究を精力的に行っており、統合失調症の患者が生まれ育った家庭には特有の傾向や歪みが見られることが多いという仮説を提示した。

現在の統合失調症のエビデンスベースドな医学的研究では、統合失調症の発症・維持には『心理的要因(家族因・親の育て方)』よりも『遺伝的要因(生得的な原因))』のほうが強く相関している事が明らかになっている。そのため、テオドール・リッツの統合失調症の家族歴の研究論文が参照されることは精神医学の文献学研究以外では殆ど無くなっている。

テオドール・リッツが統合失調症患者を生み出す家族の特徴として上げたのは、『夫婦分裂・結婚の分裂(marital schism)』『夫婦歪曲・結婚の歪曲(marital skew)』の二つである。

夫婦分裂(marital schism)とは、夫婦仲が険悪で激しく対立している状況のことであり、親が子供を『自分の味方』に引き入れようとして、『配偶者の悪口』を子供に吹き込んでいるような家庭のことである。夫婦分裂では、親の子離れが進みにくく子供の精神的自立や安心感が阻害されやすくなるし、『世代間の正常な分離・独立』が遅れたり不可能になったりしてしまう弊害が出てくる。『夫婦分裂』の結果、生み出される統合失調症の患者には女性(女児)が多いとされた。

夫婦歪曲(marital skew)とは、父母のどちらかが重篤な精神病に罹患しているにも関わらず、もう一方の親が『配偶者の精神病の事実』を認めずに現実を歪んで認知しているような家庭のことである。家族に精神病患者がいるということがタブー視されてしまい、子供に対して『歪曲された現実=妄想的な現実認識』が教えられるので、次第に子供が現実と妄想の区別を付けにくくなってしまうのである。『夫婦歪曲(家族歪曲)の結果、生み出される統合失調症の患者には男性(男児)が多いとされた。

テオドール・リッツは、第二次世界大戦のガダルカナルの戦いを題材にしてアメリカ軍の『戦争神経症』の臨床研究を行っていた時期もあり、『身体・病気・医療の社会史の研究者による研究日誌』がレポートとして残されている。日本で入手できるT.リッツの邦訳書(古書)としては、『分裂病・家族・個人(国際医書出版,1976)』がある。



posted by ESDV Words Labo at 16:14 | TrackBack(0) | り:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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