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2014年11月24日

[エミール・クレペリンの早発性痴呆(Dementia Praecox)とそれ以前の破瓜病・緊張病・妄想病]

エミール・クレペリンの早発性痴呆(Dementia Praecox)とそれ以前の破瓜病・緊張病・妄想病

E.クレペリンはグリージンガーの単一精神病の概念を継承しており、『破瓜病・緊張病・妄想病』の精神病の本態は同一の精神病に還元することができるとして、その本態として『早発性痴呆(後の統合失調症)』を仮定したのである。

ウィルヘルム・グリージンガーの単一精神病論とエミール・クレペリンの精神医学教科書:1

ウィルヘルム・グリージンガーの単一精神病論とエミール・クレペリンの精神医学教科書:2

『破瓜病(破瓜型統合失調症)』は、16歳頃の思春期(月経が始まる破瓜期)に発症する精神病という意味合いだが、破瓜型統合失調症は16〜25歳くらいに発症しやすく、その予後が悪いために『解体型』と表現されることもある。破瓜病では幻覚・妄想・錯乱(興奮)といった陽性症状は少なく、『陰性症状(無為・自閉・感情鈍麻・刺激過敏性)』などが中心的な症状となる。

『緊張病(緊張型統合失調症)』は、20歳前後で発症しやすい精神病で、緊張病症状と呼ばれる『興奮(大声を出したり物・人に当たったりする)』と『昏迷(動かなくなり無言状態になる)』が見られることが多い。緊張型統合失調症は興奮と混迷を主要な症状とする精神病で、表情や動作がぎこちなくなっていき、入浴や着替えを拒絶するなど日常生活(社会生活)が極めて困難になる。

『妄想病(妄想型統合失調症)』は、10〜30代以上の広範な年齢層で発症する精神病で、幻覚(幻聴)や妄想といった『陽性症状』が目立ってくる病気である。妄想型統合失調症では、無為・自閉(ひきこもり)・感情鈍麻・思考貧困といった『陰性症状』による生活不適応はあまり見られないが、『被害妄想・見えない声が聴こえる幻覚(幻聴)』の陽性症状がでやすいため、特定の妄想体系や価値判断にこだわってしまい冷静な話し合いや客観的な状況認識が出来なくなることもある。

E.クレペリンはこれらの破瓜病・緊張病・妄想病に共通する精神症状と経過・予後の特徴をまとめて、『早発性痴呆(Dementia Praecox)』という疾患単位を確立したのだが、早発性痴呆というのは老年期まで至らない早期に発症する痴呆という意味であり、慢性かつ進行性の経過をたどって最終的には『人格の荒廃・解体(治療不能な末期状態)』に至るというものであった。

クレペリンの早発性痴呆(統合失調症)の捉え方はかなり悲観的であるが、現在の統合失調症は軽症化が進んでおりその発症率も低くなっていることから(軽症の統合失調症は薬物療法で寛解するケースも多いことから)、クレペリンの時代ほど統合失調症が最悪の予後(人格荒廃・知性喪失)に必ず至る病気という認識は無くなってきている。



posted by ESDV Words Labo at 05:03 | TrackBack(0) | く:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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