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2014年12月26日

[古澤平作と日本の近代精神医学の歴史:3]

古澤平作と日本の近代精神医学の歴史:3

古澤平作は日本人としては初めてジークムント・フロイトから直接的な薫陶を受けた人物とされ、フロイトに『罪悪感の二種』というドイツ語論文を提出したりもしたという。

ヨーロッパの父性原理を前提にしたフロイトのエディプス・コンプレックスに対して、古澤平作は日本的な母性原理・甘えと赦しの精神を反映した阿闍世コンプレックス(あじゃせコンプレックス)の概念を考案している。

呉秀三と日本の近代精神医学の歴史:1

呉秀三と日本の近代精神医学の歴史:2

東北大学医学部教授であった古澤平作は、ウィーン留学から帰国した後、1934年から1968年まで、日本で唯一の精神分析医として精力的かつ共感的な臨床活動を行っていたとされる。戦後の1950年代からは日本の精神科医と臨床心理学者の教育分析に熱心に取り組んでおり、近代日本の精神医学・精神分析の分野を代表するような多くの弟子を輩出している。1955年には、『日本精神分析学会』を創設するという仕事を成し遂げている。

近代精神医学の立役者である古澤平作からの教え・薫陶を受けた、日本の著名な精神科医・臨床心理学者としては、土居健郎、前田重治、西園昌久、武田専、小此木啓吾、鑪幹八郎、齋藤久美子、馬場礼子などの錚々たる顔ぶれがいる。古澤平作には、近代日本の精神分析・力動精神医学・心身医学・臨床心理学の基礎を構築して、各分野の主要な研究者・臨床家に非常に大きな学術的・実践的な影響を与えたという功績が認められる。

20世紀後半のカウンセリング(ロジャーズ派,ジェンドリン派)・臨床心理学・ユング心理学の分野においても、佐治守夫、片口安史、村瀬孝雄、田畑治、村山正治、河合隼雄、山中康裕などの、現在でもその理論や臨床経験(ケースワーク)を参照されることがある影響力のある人物が出ている。

現代の日本の精神医学は『記述精神医学・生物学的精神医学』が中心であり、DSMの病名診断に対する薬物療法・リハビリテーション・入院療法によって対処するケースが多くなっているが、日本の精神分析・力動心理学・家族療法の流れは『クライエント(患者)の内面心理・生活履歴・人間関係の共感的な理解と支援』において軽視することのできない大きな役割を果たしてきた側面を持っている。

posted by ESDV Words Labo at 14:51 | TrackBack(0) | こ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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