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2015年01月08日

[精神科医と臨床心理士(臨床心理学者)の職業領域の区分と相互的な連携]

精神科医と臨床心理士(臨床心理学者)の職業領域の区分と相互的な連携

精神科医療は臨床心理士・臨床心理学者の担う職業領域の一つであり、臨床心理士は医師以外の医療関係者である“コ・メディカルスタッフ”の一員として扱われることが多い。精神科医と臨床心理士の役割分担は各病院(各クリニック)ごとに様々な形態があるが、最も典型的な役割分担のスタイルとして『A-Tスプリット(Administrative Doctor-Therapist Split)』と呼ばれるものがある。

J.S.コーチンの精神保健的介入モデル:収容管理的な臨床と心理治療的な臨床

A-Tスプリットの役割分担とは、精神科医が薬物療法と病棟の指示・管理を担当して、臨床心理士が心理療法と心理テスト(心理アセスメント)を担当するというものである。現在の精神科医療では、役割分担の協働と専門性の相互尊重に基づく『リエゾン精神医学』が主流になりつつあるが、精神科医と臨床心理士も相互に役割分担しながら患者のために協力することが求められている。

更に、お互いの専門的な職業領域や職業的な自己アイデンティティの確立によって、精神科医と臨床心理士の間には適度な境界線(お互いがそれぞれの専門的な能力を発揮して責任を負うべき領域の境界線)が引かれていたほうが良いという考え方もある。

精神科医の臨床心理士(心理臨床家)に対する『期待・評価』と『不満・批判』には以下のようなものを考えることができる。

1.臨床心理士は専門的な心理テストの実施と解釈に精通しているので、患者の内的世界や人格構造をより詳しく理解することができる。医師は心理テストの結果・解釈を『病名診断・病理水準・治療方針』を判断する時の参考にすることができるだけでなく、テスト結果を間に挟んで患者について医師と臨床心理士が深いレベルで語り合う(学び合う)という貴重な機会を得ることができる。

2.臨床心理士の能力・経験が『心理アセスメントの実施者・解釈者』に偏り過ぎてしまうことで、心理療法(精神療法)による患者の治療に専念する機会が少なくなったり、心理療法的な治療・経過の経験が不足してしまうことがある。

その一方で、大勢の患者を一日に診察する必要から、『ひとりひとりの患者の訴え・内面・生活歴(人間関係)』にゆっくり耳を傾けることが難しい精神科医にとっては、臨床心理士は時間のかかる心理面接や心理アセスメントを代理的に実施して自分に要約して伝えてくれる『心の専門家』として重宝されている。

3.精神科医と臨床心理士の専門性・治療的アプローチが相互補完的に機能して、お互いに積極的かつ好意的に連携できる時には、『患者の利益・改善可能性』は飛躍的に高まることになる。

臨床心理士は薬物療法を用いることができない故の『心の専門家・心理療法及び心理テストの実践者』として精神科医に評価されているが、精神科医が知りえない『患者の人間的・心理的・関係的な側面(あるいは心理状態や精神疾患の時間的経過)の詳細な情報』について教えてくれる大切なパートナーとしての顔も持っている。



posted by ESDV Words Labo at 04:31 | TrackBack(0) | せ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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