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2015年01月24日

[精神医療の治療構造論:空間的‐時間的な治療構造と精神的‐身体的な精神科医のアプローチ]

精神医療の治療構造論:空間的‐時間的な治療構造と精神的‐身体的な精神科医のアプローチ

精神分析の研究者や理論を日本に積極的かつ啓蒙的に紹介した精神科医の小此木啓吾が、治療構造論について日本語の書籍を書いた初めての人とされている。精神医療の治療構造は以下のような条件によって規定されてくる。

精神医学における『治療関係』と『治療構造』1:クライエントの合理的思考力・治療意欲

精神医学における『治療関係』と『治療構造』2:心理臨床家とクライエントの作業同盟

1.通院治療(外来)か入院治療か

『通院治療(外来)』の場合には、患者は今までの家庭生活・社会生活・仕事を継続しながら、ごく短時間の診療時間だけ医師・医療スタッフと関わるので、お互いの『社会的な役割関係・人間関係の距離感』が明確になりやすい。そのため、転移感情に巻き込まれにくいし、完全な患者(病者)としてのアイデンティティには陥りにくい。

2.空間的・時間的な治療構造の特徴や傾向

診療行為やカウンセリングを、医師(心理臨床家)とクライエントの二人だけの空間で実施するのか、看護師・福祉スタッフ・家族なども一緒に立ち会っている空間で実施するのかによって、『クライエントが話題にする内容』や『医師(心理臨床家)の答える内容や共感する度合い』などが変化してくる可能性がある。これが『空間的な治療構造』を作る典型的な要因である。人間は無意識的にではあれ、『第三者に聞かれても大丈夫と思う話題』と『二人だけの時に聞いてもらいたいと思う話題』を区別しやすい心理傾向を持つからである。

『時間的な治療構造』というのは、医師(心理臨床家)とクライエントが、1回の心理面接でどのくらいの時間を共有して話し合うのか、治療が終結するまでどれくらいの時間・期間がかかるのか、手術・投薬だけで治る外科疾患・急性疾患なのか、相当な長期間にわたって通院・心理療法・投薬などの必要性がある慢性疾患・精神疾患(発達障害など含め)なのかなどの時間的要因によって規定される構造である。

3.病院組織・管理組織による治療構造

社会的・法律的・組織的に成立している病院組織や管理組織などの要因によっても、治療構造は規定されている。『学校・家庭・産業医・個人クリニック・病院・福祉施設』などの組織や団体などに所属していたり、そこで活動していたりすることが、治療構造の性格や影響を決めてくるのである。

4.医療関係者の役割分担による治療構造

医療関係者の協議・各自の能力に応じて『医療スタッフ・治療チーム』が結成され、その中での役割分担が行われることによって、各クライエントにとってのオーダーメイド的な治療構造が構築されることになる。

精神科医療においては、身体疾患の部分に関する診察も同時に行われることがあるが、『精神科的な診療』と『身体科的(内科・外科的)な診療』とを同じ医師が同時に担当するのか、それぞれ異なる医師が担当するのかによっても治療構造は大きく変わってくるのである。

同じ医師が『精神科的な診療』と『身体科的(内科・外科的)な診療』を行う場合には、心理面の心理療法と身体面の医療行為を統合しやすいメリットがあるが、この『サイコ‐ソマティック(psycho-somatic)な診療』によって患者は医師に対する不満・怒り・執着などを『身体表現化障害』の形で表現しやすくなるデメリットもある。

サイコ‐ソマティックな診療行為の間には、患者(クライエント)は幼児的・依存的な退行を起こしやすくなるので、医師(心理臨床家)は過度に逆転移の感情に巻き込まれないようにして、患者(クライエント)に対して中立的な態度を取れるように努めなければならない。患者が医療関係者に投影しやすい幻想・理想・空想・欲求不満などを、医療関係者はまともに受け取って感情的に混乱してしまってはダメなのであり、医療関係者は患者との適切な人間関係の距離を取って接さなければならないのである。

精神疾患や心身症が重症である場合には、客観的な出来事と内的な空想・幻想との区別をしっかりとつけてあげることが大切であり、身体的な反応と情緒的・投影的な反応との違いをカウンセリングを通して学習していくことも大きな課題になってくる。そのため、治療構造論の原則論の上では、精神面と身体面のアプローチを同一の医師が継続的に行うよりも、それぞれ別の医師が役割分担をして行ったほうが『身体・精神の現象の混乱,投影・転移による精神的な変調や思い込み』のリスクは低くなると考えられている。



posted by ESDV Words Labo at 01:19 | TrackBack(0) | せ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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