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2015年02月03日

[精神医学(精神医療)におけるインフォームド・コンセントと治療の動機づけ:1]

精神医学(精神医療)におけるインフォームド・コンセントと治療の動機づけ:1

精神医療の分野では『精神疾患に対する特異的治療法の欠如』『患者の理解能力・判断能力・責任能力の低下や欠如』『統合失調症や知的障害など現実吟味能力の欠如』などによって、身体医療と同じようなレベルで『十分な説明と同意に基づく医療(IC)』を推進しにくかった事情がある。

インフォームド・コンセントの歴史と医師‐患者の信頼関係(プロセス・モデル):2

しかし、現代の精神医学(精神医療)では、インフォームド・コンセント(IC)を無視して精神科医が権威的・指示的な治療を行うことが適切ではないという見方が広がっており、治療プロセスにおける『医師の説明と診断,患者の理解と納得・選択の繰り返し』が重要視されるようになっている。

精神医療でも(患者の精神症状の重症度・知的能力のレベルによって対応は変わってくるが)『精神科医‐患者の信頼関係の構築・維持』を前提にして、患者が自分の病気について適切に理解し、主体的な選択・判断ができるように促進することが治療の主要目的の一つにされる時代になってきている。精神疾患に対してはいまだに社会の差別・偏見・排除の風潮が残っているので、『重症度の高い(完治の治癒が期待しづらい)精神疾患の告知』にあたっては、医師はICに十分な注意と配慮を払わなければならないだろう。

前時代の精神医療では珍しくなかった『閉鎖病棟の隔離的治療・安易な措置入院・精神科医のパターナリズム(極端な権威主義)・家族が病院に患者のすべてを一任するお任せ医療』などは、現代の精神医療では概ね批判されて(一部の重症事例・閉鎖病棟などを除き)段階的に改善されつつある。

精神医療における病名診断は『スティグマ(社会的な烙印)』として機能することも多い。自分が精神疾患ではないかと思っている患者にとって、『精神科医(治療者)に頼らざるを得ない状況』は、精神医療に対して『否定的な動機づけ』『肯定的な動機づけ』の葛藤を誘発しやすい。

○否定的な動機づけ……権威や身分を持つ医師に、診断されて治療を受けるという不安があり、その不安が自分が迫害・非難・支配されるという被害妄想を生み出すことがある。こういった不安・被害妄想が中心となって、精神科(心療内科)の治療を受けたくないという否定的な動機づけが強まってしまう。

自分の性格や内面を知られすぎると、医師から自分の感情・人生を支配されるのではないかと思ったり、本当の考えや気持ちを言うと医師から見捨てられるのではないかと不安になったり、この医師は本当に信頼できる人物なのだろうかと不信感・疑念を抱いたり、医師が自分を低く評価したりバカにしないだろうかと思ったりする。

○肯定的な動機づけ……患者は自分よりも精神疾患に詳しい医師に、診断してもらって治療を受けることによって、『今よりも快適で楽な精神状態』になれるのではないかという期待や要求を抱いている。その期待や要求が中心となって、精神科(心療内科)の治療を受けたいという肯定的な動機づけが強まるのである。

医学的な根拠のあるエビデンスベースドな合理的治療を受けられると期待したり、特殊な精神療法や催眠などによって魔術的な治療効果が得られるのではないかと想像したり、精神科医を精神疾患を簡単に治療できるエキスパートとして過度に理想化したりすることによって、治療の肯定的な動機づけが高まることがある。

posted by ESDV Words Labo at 13:55 | TrackBack(0) | い:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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