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2015年02月03日

[精神医学(精神医療)におけるインフォームド・コンセントと転移感情・対象喪失体験:2]

精神医学(精神医療)におけるインフォームド・コンセントと転移感情・対象喪失体験:2

過去の重要な人物(親)に向けていた強烈な感情・不満・要求などを、『現在の人間関係』の中に投影してしまう自我防衛機制を『転移(transference)』というが、患者の内面・生活について深いレベルで理解していく精神医療・心理療法の臨床では、『転移(患者側からの転移感情)・逆転移(医師側からの転移感情)』が起こりやすいという特徴がある。

精神医学(精神医療)におけるインフォームド・コンセントと治療の動機づけ:1

転移は『主観的な感情・気分・態度・期待・空想』といった形をとって、現在の重要な他者に向けられることになるが、これは『過去の重要な人間関係(親子関係)』の中で感じていた強烈な感情の無意識的な反復(繰り返し)であり投影(向け変え)である。

精神医療の臨床において、これらの転移・逆転移が起こった時には、医師は特定の患者に対して過度の好意や執着、不快感や抵抗感を感じて、患者に対して不適切な返答や対応を取りやすくなってしまう。そのため、精神科医や心理臨床家はスーパービジョン(教育分析)を受けるなどして、自分自身の逆転移の感情・態度に自覚的になれるように心理状態や準備を整えておかなければならないのである。

精神医療分野のインフォームド・コンセント(IC)の障害になるものとして、『医師と患者のコミュニケーションのすれ違い』『患者のアンビバレンツ(両価的)な態度』があるが、患者が自分自身が精神疾患であることを認めたくない時には特に、『客観的な病気・病状・検査・治療の情報提供』に対して感情的で攻撃的な反応が返ってきやすくなってしまう。

精神医療のインフォームド・コンセントを行うにあたって、不適切で問題があるとされる医師の態度・説明方法には以下のようなものがある。

権威的・一方的・強制的・説教的・威圧的(脅かし)・患者からの質問に答えない・患者の理解や納得を確認しない

患者を傷つける言動・患者をバカにした態度・冗長で抽象的な説明・過度の難しい専門用語の使用・ブラックユーモア(場に似つかわしくない冗談)・説明不足

ターミナルケアや死の受容段階の研究で有名な女性精神科医のエリザベス・キューブラー・ロス(Elisabeth Ku"bler-Ross, M.D.,1926-2004)は、がん告知が与える精神的影響を精神分析的な『対象喪失論』を元にして説明した。

それは致命的疾患であるがんの告知が、『自分はまだまだ健康に生きられるという告知以前の自己イメージ・自己評価』を完全に失わせて強烈なショックを与えるからだが、『真実・事実を知ることに重点を置くインフォームド・コンセント』は原理的に、『知ることによる喪失体験(今までの自己イメージの喪失によるショックとそこからの自己受容)』をもたらしやすいものである。

posted by ESDV Words Labo at 13:56 | TrackBack(0) | い:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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