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2015年02月15日

[小此木啓吾の『A-Tスプリット』と臨床心理士の役割:1]

小此木啓吾の『A-Tスプリット』と臨床心理士の役割:1

精神科医が管理医として患者を担当する精神医療では、外来診療でも入院治療でも、臨床心理士は精神科医の指示監督や依頼(オファー)に従う形で『心理アセスメント(心理検査)・心理療法(カウンセリング)』を実施することになる。精神科・心療内科で実施される精神医療の中心には、精神科医(心療内科医)が行う『医学的な診断・薬物療法』があるからである。

日本の法制度では臨床心理士は薬物療法を主体とした医療行為に直接的に参加するだけの法的権限がないため、『(処方薬を用いる)医療行為のフレームワーク』ではどうしても医師の指示・監督を受ける立場となる。

精神医療の枠組みにおける臨床心理士(心理臨床家)の役割は、『医師による患者の診断の補助として役立つ各種の情報提供(心理アセスメント)』『患者の心理社会的な問題を重視した治療的なアプローチ(心理療法)』である。この場合にもリエゾン精神医学の前提を踏まえて、医師・看護師などのコメディカル・スタッフと協力し連携しながら『患者の利益を第一とした治療方針・治療構造』を設計するように努めなければならない。

精神科医の小此木啓吾(おこのぎけいご,1930-2003)は、管理医(Administrator)と治療実施者(Therapist)が適切な役割分担をしながら連携するための治療構造論の基本概念として『A-Tスプリット』を提唱している。

A-Tスプリットとは、“A=Administrator(管理医)”“T=Therapist(治療実施者)”とが分離(スプリット)して協力・連携していくという治療構造論のモデル的な基本概念である。このAとTの分離は、当初二人以上の医師を前提にしたものだったが、現在では精神医療全体の診断枠組みを管理的に管轄する『管理医(A)』と患者の内面世界を分析して治療的な方法論を考えていく『心理臨床家(T)』の役割分担として解釈しても良いだろう。

posted by ESDV Words Labo at 16:06 | TrackBack(0) | お:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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