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2015年02月25日

[J.H.ジャクソン(John Hugh-lings Jackson)の非局在説のジャクソニスム:進化と解体の理論]

J.H.ジャクソン(John Hugh-lings Jackson)の非局在説のジャクソニスム:進化と解体の理論

19世紀に隆盛した『古典的局在論』に反対したイギリスの神経学者・心理学者に、J.H.ジャクソン(John Hugh-lings Jackson, 1835-1911)がいる。J.H.ジャクソンは機能局在説に対抗する全体説を提唱した初期の神経学者であるが、ジャクソンの神経学は『進化(evolution)と解体(dessolution)の理論』に裏付けられたもので20世紀の精神医学にも大きな影響力を振るったものである。

失語症の言語障害とウェルニッケ・リヒトハイムの図式

J.H.ジャクソンは、神経系はよく組織化されていて自動的に作動する“下位中枢”から、組織化されておらず随意的(意識的)に動かすことのできる“上位中枢”へと“進化(evolution)”に応じた階層秩序を形成していると考えた。何らかの疾患・病気による“解体(dessolution)”は進化のプロセスの逆行であり、上位中枢の機能から下位中枢の機能へと退行するとした。

統合失調症のような精神病の“陰性症状(無為・無気力・感情鈍麻など)”は侵襲による上位機能の喪失の結果であり、“陽性症状(幻覚・妄想・錯乱など)”は残存した下位機能の解放の結果であるとした。

これらのJ.H.ジャクソンによる進化と解体の概念を元にした精神病理学的な理論を『ジャクソニスム(Jacksonism)』と呼ぶが、ジャクソニスムは精神分析のS.フロイトや記述精神医学のE.クレペリン、統合失調症を提唱したE.ブロイラーにも大きな影響を与えたという。ジャクソニスムは、精神医学者のH.エー(H.Ey)によって『ネオジャクソニスム』として更に理論的・実践的な発展を遂げた。

J.H.ジャクソンによる脳の機能局在説の否定は、“機能の局在”“病巣の局在”を区別すべきという批判に立脚しており、“精神機能の構造・水準”を精神病理学の主要なテーマとして設定していた。ジャクソンは失語症によって、命題を設定する意図的な知性言語(上位中枢)が障害されるが、自動的な感情言語(下位中枢)はまだ残っていると主張して、失語症の問題の本質は『非局在説的(全体説的)な命題設定能力の喪失』にあるとした。



posted by ESDV Words Labo at 18:01 | TrackBack(0) | し:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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