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2015年03月24日

[適応障害(Adjustment Disorder)とハンス・セリエの適応症候群のストレス学説:2]

適応障害(Adjustment Disorder)とハンス・セリエの適応症候群のストレス学説:2

カナダの生理学者ハンス・セリエは、ストレスを『外部環境からの有害な刺激によって起こる生理的・心理的な歪みに対する非特異的反応(誰にでも起こる一般的反応)』と定義している。そして、ストレッサーに曝された生体が見せるストレッサーの有害性に何とか適応(復元)しようとする一般的な生理的・化学的反応を、『適応症候群(adaptation syndrome)』の理論で説明しているのである。

適応障害(Adjustment Disorder)とハンス・セリエの適応症候群のストレス学説:1

適応症候群とは、脳内の視床下部や副腎皮質・副腎髄質などの内分泌腺のホルモン分泌、あるいは自律神経系の興奮・抑制の調整機能によって誰にでも起こる一般的なストレス反応のことである。この適応症候群が発現することで、ストレッサー(ストレス因子)による生理的・心理的な歪みに耐えたり復元したりすることが可能になっており、多少の有害な変化が起こっても元の状態に戻そうとする『ホメオスタシス(生体恒常性)』が維持されている。

ハンス・セリエが唱えた適応症候群は、『全身反応』と『局所反応』の違いに着目すると『汎適応症候群(GAS)』と『局所適応症候群』の二つに分けることができる。汎適応症候群(GAS:General Adaptation Syndrome)というのはストレッサーに対する生体の全身適応反応のことであり、局所適応症候群というのはストレッサーに対する生体の局所的な適応反応のことである。

全身適応症候群はストレッサー(ストレス因子)を受けてからの時間経過とストレス適応状態の変化によって、『警告反応期→抵抗期→疲憊期』の3つの時期に分類されている。

『警告反応期』は生理的な“ショック相(逃走的・副交感神経優位)”と“反ショック相(闘争的・交感神経優位)”から成り立っており、外部の有害刺激であるストレッサーを受けているという生理的警告を発してそれに対応するための準備を整えている。『抵抗期』はストレッサーの強度とストレス耐性の強度とが拮抗している時期であり、抵抗期の段階でストレッサーが無くなったり弱まったりすれば、適応障害やその他の精神疾患が発症することはないとされる。

『疲憊期』は長期間にわたって続くストレスによって、生体のストレス耐性や生理的・心理的な抵抗力が衰えていく段階であり、次第に精神疾患・身体疾患のような病的状態に陥るようになり、更に強いストレスが継続すれば最終的には“死”にまで至ると考えられている。

posted by ESDV Words Labo at 13:49 | TrackBack(0) | て:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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