T.ホルムスとR.H.レイの『ライフイベントによるストレスの強さ』の一覧表と対象喪失
アメリカの精神科医であるT.ホルムス(T.Hoimues)とR.H.レイ(R.H.Rahe)は、『ライフイベント(人生の重要な出来事)とストレスの強度との相関関係』を数値化したストレス心理学の研究で知られている。
愛情・愛着や依存の対象をさまざまな理由で失う体験のことを『対象喪失(object loss)』という。T.ホルムスとR.H.レイのライフイベントに基づくストレス研究でも、『配偶者(近親者)の死や離婚・離別』がもっとも強いストレス要因とされており、人間にとってもっとも強いストレスを与えるのは『対象喪失に関わるライフイベント』だと考えられている。
T.ホルムスとR.H.レイが調査して整理した『ライフイベントによるストレスの強さ(変化に適応するためのストレスの強さ)』の一覧表は、以下のようになっている。
ストレスは今までの生活状況や心理状態を大きく変えてしまう『生活上・関係上・義務上の変化』によって生じるので、一般的には悪い変化とは考えられていない『結婚・昇進・引越し・子供の自立(空の巣症候群)』なども強いストレスになることがあるとされている。
現代の先進国では未婚化も進んでいるので、配偶者の部分は一緒に生活をしている異性や極めて親密な交際をしている異性など『家族同等の心理的密着度・長期の付き合いがある異性』に置き換えてみても良いだろう。
配偶者・近親者の死……100(100を最大とする相対的なストレス値)
離婚……73
配偶者との離婚・離別……65
拘禁……63
親密な家族メンバーの死……63
怪我や病気……53
結婚……50
失業……47
引退・退職……45
家族成員の健康上の変化……44
妊娠……40
性的な障害……39
新しい家族成員の誕生・追加……39
職業上の再適応……39
経済上の変化……38
親密な友人の死……37
仕事・職業上の方針変更……36
配偶者とのトラブル……35
1万ドル以上(約100万円以上)の高額な借金……31
借金・ローンの金銭トラブル……30
仕事上の責任の変化……29
子供が自立して家を離れる……29
法律上のトラブル……29
特別な成功……28
妻が働き始めたり、仕事を辞めたりする……26
学校に行き始めたり、仕事を辞めたりする……26
生活条件の変化……25
個人的な習慣変更……24
職場の上司とのトラブル……23
労働時間・雇用条件の変更……20
住居の変更・引越し……20
強いストレス要因となる対象喪失には、以下のような特徴がある。
1.近親者の死・離別や恋愛の失恋をはじめとして、『愛情・愛着・依存の対象』を失うことであり、その対象の喪失には『子供の自立・親離れ』による保護していた親の側の喪失感なども含まれる。
2.慣れ親しんでいる環境・住宅・職場(地位)・人間関係が変わるような体験も対象喪失の一つであり、『引越し・昇進・左遷・転勤・海外移住・進学・就職・転校』なども一定以上のストレスになる。
3.自分自身が何者であるかという自己アイデンティティが拡散したり喪失したりすることも対象喪失の一つである。また、自分の存在意義や存立根拠として仮定されていた『国家・民族・集団・理想・思想』などを失ったり挫折したりする時にも、対象喪失の悲哀や苦悩に襲われることになる。

