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2015年04月14日

[外的対象喪失と内的対象喪失:モーニングワーク(喪の仕事)]

外的対象喪失と内的対象喪失:モーニングワーク(喪の仕事)

愛情・依存の対象を失ったり、愛着を抱いている環境・地位から離れたり、自分の自己アイデンティティが拡散したりすることによって、『対象喪失(object loss)』が引き起こされる。対象喪失は人間が感じる悲哀・苦悩の本質の一端であり、もっとも強いストレス因子として人間の精神活動に非常に大きな影響を与えるものである。

対象喪失は、『外的対象喪失』『内的対象喪失』に大きく分けることができる。自分の内的世界(心)の外部にある人物や環境が失われる経験を『外的対象喪失』というが、外的対象喪失の典型的な事例として夫婦の死別・離婚、恋人との別離、友人との絶縁、仕事の転勤や海外移住などがある。

自分の内的世界(心)の内部における『他者・環境の価値や影響の捉え方の変化や喪失感』を伴う経験のことを『内的対象喪失』というが、その典型的な事例は理想化されていた両親のイメージの現実的な調整、惚れ込んでいた異性の理想的なイメージの低下などである。

内的対象喪失の多くは『理想化されたイメージの現実的な調整・受容』を伴うものである。すなわち、実際以上に理想的な特徴や属性を持つ人として内的に評価されていた人の価値が、『現実の状態・能力に見合ったイメージ』に再調整されることで喪失感(失望感・受容感)を実感することになるのである。

親離れや親の老化の実感によって、それまでよりも親のイメージが小さく見えてきてしまうことも、分かりやすい『内的対象喪失』の一例と言うことができる。精神分析では幼少期や自分が未熟だった時期に理想化されていた他者(親・教師・先輩など)についての失望・幻滅の体験のことを『脱錯覚(disillusionment)』と呼ぶが、この脱錯覚の体験は内的対象喪失であると同時に、現実的な自我の成長の動機づけにもなるものなのである。

“対象喪失(object loss)”が起こると、一般的に失った対象に対する思慕・恋慕・未練などの感情が高ぶって再開を強く願うようになるが、対象喪失の後に展開する心的プロセスには一定のパターン化された感情・気分・認知の変化があり、この一連の心的プロセスのことを『モーニング(mourning),喪の仕事』と呼んでいる。

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posted by ESDV Words Labo at 17:10 | TrackBack(0) | た:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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