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2007年05月14日

[結婚カウンセリング(marriage counseling)と夫婦関係・家族関係の問題]

結婚カウンセリング(marriage counseling)と夫婦関係・家族関係の問題

この項目は、結婚心理学と結婚モラトリアムと関係している項目です。

二人の男女が結婚して作り上げる結婚生活では、今まで自分が育った「実家(成育家庭)」とは違う「新世帯(二人の家庭・夫婦と子の家庭)」で生活をする事になるので、今まで二人が持っていた「家庭生活の常識やルール(決まりごと)」が通用しない場面が多く出てくる。人間の性格傾向や行動様式(価値観)は、自分が生まれ育った家庭環境(生活環境)や両親(学校)の教育内容の影響を受けるので、生活時間を長く共有する結婚生活では「夫婦の常識感覚や価値観の違い」が浮き彫りになりやすいのである。「実家での生活」から「夫婦での新生活」に適応する際に、「実家での生活に満足していた人」と「実家での生活に不満を感じていた人」では新しい結婚生活への適応戦略が大きく変わってくる。

過去の重要な人物に向けていた感情を現在の新たな人間関係の中で再現しようとする自我防衛機制を「転移(transference)」というが、実家の生活で抱いていた感情(幸福感・満足感・不幸感・不全感)は、新しい結婚生活にも何らかの形で転移されやすいと考えられている。以下に、実家での人間関係やコミュニケーションの「転移」によって生じる「理想の家庭像(家庭に求める条件)」の違いについて記しておく。

安定した家族関係の中で両親を尊敬し幸福や喜びを多く感じていた人は、『過去の理想的な家庭(実家)』と同じような家庭を『新しい家庭(夫婦関係)』で再現しようとするが、これは『原型再現タイプ』と呼ばれる。反対に、不安定な家族関係の中で両親を嫌悪(軽蔑)し不幸や不満を多く感じていた人は、『過去の問題の多い家庭(実家)』を否定してそれとは正反対の『新しい家庭(夫婦関係)』を作ろうとするが、これは『反動形成(理想化)タイプ』と呼ばれる。

『過去の家族関係(実家)』にある程度の不足や欠如を抱えていて、『新しい家庭(夫婦関係)』によって過去の不足や欠如を埋め合わせようとするタイプを『欠如補償タイプ』と呼ぶこともある。新たな結婚生活や夫婦関係への適応が難しいタイプとして、『過去の実家』で受けた心的外傷(トラウマ)や抑圧感情を『新しい家庭(夫婦関係)』で爆発させて八つ当たりする『内圧タイプ(DV親和型の性格類型)』がある。一般的には、過去の家庭環境や基本的な家族観が似たタイプの夫婦のほうが結婚生活が上手くいきやすいが、家庭環境や価値観が違っていても相互理解や相手の心理的受容を進めていくことで円滑な家族関係を実現できることも多い。

お互いを思いやれる良好な夫婦生活を維持するためには、「自分と相手との価値観や考え方の違い」を認識して「相手の欠点や短所」を受け容れるような努力が必要である。夫婦共に「自分の要求や主張」を無理やりに押し付けるのではなく、「相手の不満や怒り」を和らげるような優しい配慮が望まれる。結婚カウンセリング(marriage counseling)は、家族心理学(family psychology)や家族心理学の下位分類である結婚心理学(marriage psychology)を基盤としている。日本で結婚カウンセリング(結婚生活相談)が行政機関(心理相談機関)で行われるようになったのは、家系の存続を個人の意思に優先させる「イエ制度」の影響が弱まり、結婚や離婚が自由化してきた太平洋戦争(第二次世界大戦)以後のことである。

結婚カウンセリングには、社会通念と関連したジェンダー(家庭での性別役割分担)や夫婦の性的関係(性の悩み・妊娠出産の問題)を中心に取り扱うものと、夫婦間・家族間の個別的な人間関係(コミュニケーションの取り方・性格や価値観の対立)や問題行動(DV・児童虐待・嗜癖)を中心に取り扱うものがある。現代の結婚カウンセリングでは、「結婚後の円満な夫婦関係の構築」や「離婚や別居の選択に関する問題」「子どもの育児に関する問題」を多く取り扱っていて、「喧嘩や不満の多いこじれた夫婦関係」の改善や「どちらかが離婚を考えている夫婦」の問題解決を心理学的に支援している。

配偶者間の暴力であるDV(ドメスティック・バイオレンス)や夫婦の精神障害(精神症状・身体症状)、子どもに対する身体的・精神的・性的な虐待、配偶者の不倫の問題、配偶者や子どもの依存症(薬物・アルコール・ギャンブル・買物)の問題も結婚カウンセリングで取り扱うこともあるが、その場合には家族療法(家族カウンセリング)とほぼ同等の内容になってくる。精神分析的な結婚カウンセリングでは、過去の家族関係(生活状況)や記憶に残っている出来事など生活歴(成育歴)を共感的に聴取することから始めて、夫婦間の人生(家族)に対する価値観の違いを洞察させ、お互いの短所や欠点を支えあえるようにしていく。

夫婦や家族の間で起こってくる生活上の問題の原因には大きく分けて、『心理的要因(過去のトラウマや精神発達の停滞)・経済的要因(リストラによる失業や労働意欲の減退)・社会的要因(世間体にこだわる態度や実家との関係悪化)・性的要因(不倫やセックスレス)・性格的要因(相手の性格行動パターンに対する不信や嫌悪)』がある。家族関係(夫婦関係)の問題解決にとって重要なのは、相手の人格に対する尊敬と相互的な信頼感の再建であり、『相手の欠点・短所・問題の受容』を促進していくことで相手の苦しみや痛みを思いやれるようになるのである。



posted by ESDV Words Labo at 22:53 | TrackBack(0) | け:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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