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2015年05月06日

[神経症の分類とDSMの精神障害名との対応:フロイトの不安神経症の分類と理論]

神経症の分類とDSMの精神障害名との対応:フロイトの不安神経症の分類と理論

現代の精神医学における診断基準の国際標準となっているDSMでは、DSM‐Wから神経症という病名を用いなくなっているが、それぞれの神経症の病型に対応するDSMの精神疾患の名称は以下のようになっている。

不安神経症――全般性不安障害、パニック障害

恐怖症・対人恐怖症――特定の恐怖症、広場恐怖症、社会不安障害・社交不安障害

強迫神経症――強迫性障害

心気症――身体表現性障害(心気症)

ヒステリー――身体表現性障害(転換性障害),解離性障害(解離性健忘、解離性遁走)

離人神経症――離人性障害、解離性同一性障害(多重人格障害)

抑うつ神経症――気分障害(大うつ病性障害、気分変調性障害)

神経症(neurosis)の古典的定義と神経症の病名の衰退

神経症の歴史を遡ると、神経症(neurosis)という言葉そのものを初めて用いたのは、18世紀のスコットランドの医師W・カレン(W.Cullen)であるが、近現代の精神医学・精神分析で用いられることになった神経症という病理学的概念の確立をしたのはジャン・マルタン・シャルコーやピエール・ジャネ、 ジークムント・フロイトといった精神科・神経科の医師たちであった。

S.フロイトは特に神経症の『機能障害』『心因性(過去のトラウマの抑圧や影響)』に注目しながら、神経症の発症・経過・予後の『心理機制(自我防衛機制)』の仕組みを解明して、その神経症理論の臨床経験と知識基盤に基づいた『神経症の定義・分類整理』を推し進めたという功績を残しているのである。

フロイトの定義した『不安神経症(anxiety neurosis)』は、19世紀の『神経衰弱(精神的な極度の疲労と不適応の状態)』から不安を主要な症状とする神経症の病型を抽出したものであり、不安神経症の症状は『慢性の不安感』と『急性の不安感』に分けられていた。

慢性の不安症状……対象がはっきりとしない漠然とした不安感が常にある状態。何か悪いことや危険なことが起こるのではないかという『予期不安』、不安の対象が曖昧ではっきりとせずその対象がふわふわと移り変わる『不動性不安』などの特徴を持っている。

急性の不安症状……突然発症する心因性の急性発作であり、『心悸亢進(動悸)・呼吸困難・めまい・大量発汗(異常な量の冷や汗)・胸部の痛みや締め付け・吐き気(嘔吐)・手足の振戦・気絶する感覚』などの不安感を伴う様々な精神症状が出現する。

急性の不安症状(不安感)は、パニック障害(パニック発作・不安発作)との関連も深くて、この急性の不安発作は『死の恐怖(動悸や呼吸困難、強い恐怖などでこのまま死んでしまうのではないかという恐怖)』を伴っていることが多い。『不安発作・パニック発作』を一回経験してしまうとまた同じような発作が起こるかもしれないという『予期不安』に過度に囚われて日常生活・職業活動に大きな支障が起こりやすくなる。

類似したシチュエーションでまた同じ不安発作・パニック発作が起こるのではないかという『予期不安』が強まると、電車・バスに乗れなくなる『乗り物恐怖症』、学校・会社に行けなくなる『出社拒否・不登校』などの新たな問題が複合的に起こりやすくなってしまうのである。

DSM-W‐TRでは、不安神経症は『不安障害(anxiety disorder)』として定義されている。慢性の不安感を中心的な症状とするものは『全般性不安障害(GAS:General Anxiety Disorder)』、急性の不安発作(パニック発作)を中心的な症状とするものは『パニック障害(Panic Disorder)』として分類している。

全般性不安障害における『不安』というのは、不安の対象が漠然としていてはっきりとせず、不安の強度が非常に強くて耐え難いほどにつらいものである。更に、その漠然とした全般性の不安感(さまざまな分野を浮動する不安感)が6ヶ月以上にわたって続いていて、社会的・職業的な領域が障害されていて主観的苦悩も深いというものである。

S.フロイトは不安神経症には、心理的原因を中心にしたものと生物学的原因(自律神経失調の原因)を中心にしたものとがあると主張して、心理的葛藤・抑圧によって発症する前者を『精神神経症(psycho-neurosis)』、自律神経失調の生物学的要因によって発症する後者を『現実神経症(actual neurosis)』と呼んだりもした。

現代の精神医学・臨床心理学における『不安障害に対する治療法』の中心は、抗不安薬を用いた薬物療法であるが、行動療法(暴露療法のエクスポージャー,系統的脱感作)と支持的療法も積極的に行われている。

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posted by ESDV Words Labo at 10:22 | TrackBack(0) | し:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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