強迫神経症(obsessive-compulsive neurosis):1
強迫神経症(obsessive-compulsive neurosis)は、現在のDSM‐5(DSM-W-TR)の統計学的なマニュアル診断では“強迫性障害(obsessive-compulsive)”として再定義されている。
ジークムント・フロイトは強迫神経症の症状形成機序として性的精神発達理論における『肛門期』への固着・退行を想定して、『完全主義・頑固・吝嗇(ケチ)・融通が効かない・秩序志向性(細かい規則や行動パターンへのこだわり)』などの肛門期性格の特徴の病的な過剰や逸脱によって強迫神経症が発症すると考えていた。
強迫神経症(強迫性障害)の症状は、自分の意思とは無関係にバカバカしい不合理な考えやイメージが浮かんできてしまう“強迫観念”、自分の意思に反してどうしても特定の行為や行動パターンを繰り返さずにはいられない“強迫行為”から構成されている。
これらの強迫性の精神現象を初めて観察し記録したのは、精神科医J.E.D.エスキロール(J.E.D.Esquirol)だが、強迫神経症という精神疾患の名称を1909年に初めてつけたのは、精神分析の創始者ジークムント・フロイトとされている。
S.フロイトは強迫神経症の重症例は、精神病水準(統合失調症)と神経症水準の中間的な妄想症状を示すことがあるとして、強迫神経症の重症例と境界例(現在の境界性パーソナリティー障害)が重なる可能性を示唆していた。DSMのマニュアル診断では、強迫性障害は『不安障害の一種』として分類されている。
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