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2015年05月13日

[強迫神経症(obsessive-compulsive neurosis):2]

強迫神経症(obsessive-compulsive neurosis):2

自分が思い浮かべたくない無意味で馬鹿げた思考や信念、イメージが無理やりに浮かんできたり、本来であればやる必要のない行為を何回も繰り返さなければ気が済まなかったりする強迫性の症状は、本人にとって非常に心理的に苦痛であるだけでなく、実際の社会生活や職業活動、人間関係が障害されやすい。更に、無意味な強迫観念・強迫観念への対応に囚われてしまって、時間的な損失がかなり大きくなったりする弊害もある。

強迫神経症(obsessive-compulsive neurosis):1

強迫神経症の“強迫観念”は『自我違和的な思考・イメージ』のことであり、強迫観念の症状の特徴には以下のようなものがある。

何度でも確実かつ完全に確認しなければならないという思考

科学的根拠とは無関係な迷信的な思考(祟り・呪い・怨念など)やスピリチュアルな思い込み

魔術的思考や幼児的全能感にも似た自分の願望が必ず実現するという過度の思い込み

頭に自然に浮かんできた良くない考えや不幸になるイメージが必ず実際に起こるという予言の自己成就にも似たネガティブ思考

“強迫観念”は自我違和的な反復される思考・イメージと定義することができ、“強迫行為”は妄想的な思い込みに基づく不安・心配を軽減するために繰り返し行われる儀式的・定型的な行為と定義されるが、強迫観念にしても強迫行為にしても本人が無意味・非効率で馬鹿げていることが分かっていながら、どうしても自分の意思ではやめられないことに苦悩の原因がある。

DSMに基づく強迫性障害のマニュアル診断では、患者の強迫性症状にまつわる不安・苦悩の主訴として、以下の5つのカテゴリーが典型例として挙げられている。

1.(何度も戸締りやガスの元栓などをチェックしなければ収まらない)反復的な確認行為

2.(不潔恐怖・細菌感染恐怖があって何度も繰り返し手や体を洗い続けないと汚く感じる)反復的な洗浄行為

3.強迫行為を伴わない強迫観念

4.強迫観念と強迫行為による行動の遅滞(時間の不足)

5.上記の症状の混合形態

S.フロイトの精神分析では強迫神経症の発症メカニズムは、『肛門期(発達早期)への退行・固着+肛門期性格の過剰や逸脱』として説明されることが多く、『頑固・几帳面・規則主義・完全主義・我の強さ・吝嗇(ケチ)・柔軟性がない(杓子定規の四角四面)・融通が効かない』などの性格傾向が過剰になることによって強迫神経症が発症しやすくなると考えられていた。

精神分析では強迫神経症の病理は、『道徳的に認めがたい原始的・性的な衝動のコントロール』や『過去のトラウマティックな出来事に関連した病的な罪悪感の抑圧』によって発症するというメカニズムが想定されており、強迫神経症の人は『退行・固着・隔離・反動形成・知性化・打ち消し』などの自我防衛機制を用いることで自分の罪悪感や性的衝動を抑圧しているとした。その防衛機制の抑圧に限界がきたときに、強迫性症状が出やすくなるというわけである。

現在の精神医学的治療では、抗不安薬のマイナートランキライザーを中心とした薬物療法が行われることが多い。強迫性障害の心理療法としては本人が無根拠に恐れている状況や出来事にわざと接触させて慣れさせる『行動療法(曝露療法・エクスポージャー法)』が行われたりしているが、本人の不安や悩みを傾聴していく支持的カウンセリングも行動療法と併せて行われることがある。

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posted by ESDV Words Labo at 11:41 | TrackBack(0) | き:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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