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2015年05月13日

[離人神経症(depersonalization neurosis)]

離人神経症(depersonalization neurosis)

離人神経症(depersonalization neurosis)『離人症』と呼ばれることもあり、DSM-5(DSM-W-TR)のマニュアル診断では『解離性障害』の一種の離人性障害として分類されている。

“離人(depersonalization)”という病理概念は、S.フロイトの精神分析の精神病理学で研究されていた『現実感覚(リアリティの感覚)が薄まる+自我の意識水準が低下する精神症状』であり、思考・感情・記憶・自己確認といった自我の統合性が解体される“解離(dissociation)”とはややニュアンスが異なっている。

離人神経症における『離人』には、自分が自分から離れる(自分が自分ではないような感じがする)という意味合いと自分が世界から離れる(外界のリアリティが薄れてしまう)といった意味合いがある。自分の存在実感が薄れたり、外界や客観的現実のリアリティが弱まったり、自分の身体に関する自己所属感が失われたりする病的体験が『離人神経症(離人症)』の中核にはあるのである。

自分の精神が身体から分離しているような感覚というのが、身体についての自己所属感の喪失があるが、離人神経症では『自己(自我)・身体・外界(現実)との距離感』が一般の人よりも遠くなって、自分が現実の世界で生きているというリアリティや自分の身体や外界が確かに実在しているという現実感覚が薄まってしまうような症状が出てくる。

この非現実感(世界と自分が隔たっているという疎隔感)や自己喪失感というのは、本人にとっては非常に苦痛でつらい症状である。離人神経症では食べたものの味がしないとか触られても何も感触を感じないとかいった『五感(感覚)の麻痺』が起こったり、リアリティの低下で喜怒哀楽も乏しくなって『生きている意味の喪失・希死念慮』に襲われたりしがちになる。

離人神経症は思春期の女子(10代後半〜20代前半の女性)に発症しやすい精神疾患であり、自我の発達プロセスにおいて『周囲の環境・友人関係』に上手く馴染めないなどの不適応感や違和感を感じている時に、離人神経症のような自分と外界、他者との距離感が遠くなっていくような精神状態や自分の身体に対するリアリティの乏しさを経験しやすくなる。

自分の意識が自分の身体から遊離しているような感覚、自分の精神プロセスから自分が離れている感じ、自分が客観世界や自分自身の傍観者になっているような意識になりやすくなり、『自己・外界(世界)・他者のリアリティ』が大幅に低下してしまうのである。

離人神経症は精神病ではないため、現実と想像(妄想)を区別する現実検討能力(現実吟味能力)は正常に保たれており、一般的な会話のコミュニケーションも可能であるが、自分の身体から精神が離れて自分で自分を客観的に観察しているような『自己観察的な心理状態(自分にとって重要なことでも他人事のように感じて眺めているだけといった心理状態)』に陥りやすくなる。

離人症に似た自分が自分でなくなるような感覚やリアリティの低下の症状は、統合失調症の初期症状や脳の器質的疾患で出ることもあるが、それらの別の疾患との鑑別診断も重要になってくる。

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posted by ESDV Words Labo at 11:43 | TrackBack(0) | り:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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