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2015年05月13日

[ボーダーライン・カップル(borderline couple)1:境界性パーソナリティー障害のパートナーを持つ人]

ボーダーライン・カップル(borderline couple)1:境界性パーソナリティー障害のパートナーを持つ人

自己アイデンティティが拡散して、自他の境界線が曖昧になり親しい他者に過度に依存する『境界性パーソナリティー障害(borderline personality disorder:BPD)』は、周囲にいる家族や恋人、親友を情緒的に振り回したり傷つけたりすることが多い。

境界性パーソナリティー障害(BPD)は『関係性・依存性の病理』といった側面を濃厚に持っていて、夫婦(親密な恋人)のどちらか一方が境界性パーソナリティー障害(BPD)であるカップルのことを『ボーダーライン・カップル(borderline couple)』と呼んでいる。

ボーダーライン・カップルは、様々な情緒的・要求的・依存的なトラブルを繰り返して悪循環を繰り返す『共依存(co-dependence)』の特徴を持ちながらも、健常なパートナーのほうがBPDのパートナーに合わせてケアすることで長期間にわたって、ある種の安定的な関係を維持できることも多い。

境界性パーソナリティー障害(BPD)の家族研究では、ジンナー&シャピロ(Zinner&Shapiro)が精神分析の対象関係論の図式を前提にした研究を行っている。彼らの研究成果では、BPDの人がいる家族ではW.ビオン(W.Bion)のいう『作業集団の側面』『憶測集団の側面』のうちで、憶測集団が必ず優位になることが分かっている。

そのため、ボーダーライン家族では『実務的・現実的な問題解決』よりも『想像的・投影的な問題状況の悪化』のほうが圧倒的に起こりやすく、非機能的な家族関係に陥りやすいのである。

BPDの人と他の家族成員との間で、『憶測集団の側面』ばかりが強くなってしまうと、家族メンバーの間の自他の境界が曖昧になって過干渉・過保護になりやすく、“分裂(スプリット)・投影同一視・理想化と否認”といった問題解決にはつながらない原始的防衛機制が盛んに使われやすくなる。

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posted by ESDV Words Labo at 11:44 | TrackBack(0) | ほ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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