ウェブとブログの検索

カスタム検索





2015年05月21日

[境界性パーソナリティー障害(BPD)のDSM-Wの診断基準と人間関係・気分の不安定さの特徴]

境界性パーソナリティー障害(BPD)のDSM-Wの診断基準と人間関係・気分の不安定さの特徴

境界性パーソナリティー障害(BPD:Borderline Personality Disorder)は、精神分析の病理学研究の歴史においては『精神病(統合失調症)と神経症の中間的領域にある人格構造・病的状態』とされていた。しかし、現在の国際標準となっているDSMの分類では、クラスターB(B群)に属する“自己愛・衝動性・依存性・情緒の不安定さ”が過剰なパーソナリティー障害(人格障害)とされている。

DSM‐Wでは境界性パーソナリティー障害(BPD)の診断基準は以下のようになっている。

DSM-Wにおける境界性人格障害(BPD)の診断基準

1.現実あるいは想像上の『見捨てられ』を回避しようとする狂気的な異常な努力。

2.極端な『理想化(価値承認)』と『こきおろし(脱価値化)』の急速な交代を特徴とする不安定で緊張した(インテンシヴな)対人関係のパターン。

3.自己イメージあるいは自己の感覚の顕著で恒常的な不安定さによる『自我アイデンティティの障害』。

4.自己を傷つけてしまう潜在的なリスクを伴う衝動性が、『浪費・セックス・薬物依存・無謀運転・摂食障害』などの症状として二つ以上見られる。

5.自殺企図や自殺のそぶりを繰り返し示したり、自殺をほのめかすことで周囲を繰り返し脅す。あるいは、自傷行為を反復的に繰り返す。

6.外的刺激に対する気分の反応性が顕著であることによる感情の不安定さ(エピソード的な強い抑うつ感・イライラ・不安など)

7.慢性的な虚無感・空虚感・無価値感。

8.不適切で激しい怒り、あるいは、怒りのコントロール困難(頻繁な癇癪・恒常的な怒りの状態・喧嘩の繰り返し)

9.ストレスに関連した一過性の妄想的な考え、もしくは、重篤な解離性症状。

BPDという性格傾向の過度の偏りによって生じるパーソナリティー障害の本質は、『対人関係・自己イメージ・感情や気分の不安定性』『ストレス状況における予測困難な衝動性・自傷行為・自殺企図(自己破壊的な行動)』にあると考えられている。これらの性格傾向の偏りは、成人期早期から認められることが多く、人間関係やストレス状況などさまざまな場面でその性格傾向の不適応性が明らかになっていく。

BPDの人は、人間関係における相手の言葉や行動、態度、雰囲気の変化に非常に敏感であり、『いつもとわずかでも異なる言動や距離感』を感じると強い見捨てられ不安に襲われ、『約束の時間に来られない遅れ・予定していた事柄のキャンセル』があったりすると相手に対する不信感からパニックになったり強い口調で罵倒・こきおろしをしたりする。

見捨てられ不安は、相手の裏切りや不信感に対する激しい怒りとセットになっていることが多く、自分を見捨てたり裏切ったりしようとしていると感じてしまうと、たとえそれが事実とは違っていても、不適切で激しい怒りを表現する『激怒発作』に襲われたりするのである。

BPDの見捨てられ不安は『激怒発作』だけではなく、『孤独不安(一人でいることに対する耐性の異常な低さ)』『過度の依存性(常に誰かに一緒にいてもらいたい、自分の存在価値を承認してもらいたいという欲求の異常な強さ)』と一緒になって体験されたり表現されたりすることが多い。

スポンサーリンク


posted by ESDV Words Labo at 16:00 | TrackBack(0) | き:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック