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2015年05月21日

[境界性パーソナリティー障害(BPD)とその他のパーソナリティー障害の類似性・違い:BPDの予後を良くする要因]

境界性パーソナリティー障害(BPD)とその他のパーソナリティー障害の類似性・違い:BPDの予後を良くする要因

境界性パーソナリティー障害(BPD)には、他のパーソナリティー障害(人格障害)と類似した特徴や問題が見られることも多いが、人格障害間の鑑別診断には参考とすべきポイントがいくつかある。

境界性パーソナリティー障害(BPD)の人に見られる各種の特徴と合併しやすい障害

BPDは強いストレスがかかった時には、クラスターA(A群)の『統合失調型パーソナリティー障害』と類似した“奇妙な妄想・幻覚・自己イメージの異常”の症状が出る時もあるのだが、BPDの場合にはこれらの精神病に似た幻覚・妄想の症状はストレス反応性の一過性のものに過ぎず、そのストレス要因が取り除かれればすぐに回復するという違いがある。

BPDはクラスターC(C群)の依存性パーソナリティー障害と類似した“見捨てられ不安・相手への怒りと要求・空虚感”の症状が出やすいのだが、依存性パーソナリティー障害のほうがBPDの人よりも『相手に対して説得的・妥協的・従属的』であり、自分が相手から受け入れてもらうために自分の側も相手のために尽くしたり、要求を聞き容れたりすることが多い。BPDのほうが対人関係が不安定で依存的であるというだけではなく、『相手の側に一方的に要求や怒りをぶつけて言うことを聞かせようとする傾向』が強いのである。

BPDはクラスターA(A群)の妄想性パーソナリティー障害と類似した“被害妄想・妄想に基づく怒り”が見られることがある。また、同じクラスターB(B群)の自己愛性パーソナリティー障害と同じく“自己愛の過剰・自己愛の傷つきに対する怒り”が見られることもある。しかし、BPDのほうが妄想性パーソナリティー障害や自己愛性パーソナリティー障害よりも、自己アイデンティティが拡散しやすく、人間関係が上手くいかない場合の衝動性・自己破壊性が見られやすいという特徴があり、BPDの人はより『他者の否定的・拒絶的な反応』に振り回されやすいのである。

BPDはクラスターB(B群)の演技性パーソナリティー障害と類似した“他者からの承認欲求の強さ・注目を求める欲求の強さ・他者に対する操作的な態度”があるのだが、BPDの場合には特定の親密な相手だけからの愛情や注目を求めやすく、演技性パーソナリティー障害のほうがより多くの不特定多数からの関心や注目を求めやすいという違いがある。また、BPDには見捨てられ不安に基づく孤独感の強さや慢性的な空虚感・無意味感があるが、演技性パーソナリティー障害のほうにはそういった感情や自己アイデンティティの障害は見られにくい。

BPDはクラスターB(B群)の反社会性パーソナリティー障害と類似した“他者に対する操作性・支配性”が見られることもあるが、BPDの場合には反社会性パーソナリティー障害ほどの『他者の権利や生命に対する暴力的・支配的な犯罪性』が見られにくく、反社会性パーソナリティー障害のように『金銭・財物・力(支配)への欲望の強さ』があるわけではない。BPDの人は『他者からの愛情・保護・関心』を強く求めているがために操作的・支配的になってしまうことがあるが、金銭や財物を力づくで奪い取ったり詐欺的に盗んだりするために操作的・支配的になることはまずないのである。

境界性パーソナリティー障害(BPD)の中長期の臨床的な追跡調査では、20〜30代まではBPDの症状や問題によって人生・人間関係・職業生活が混乱して振り回され続ける人が多いが、40代以上の中年期に入ると生活状況・人間関係・精神状態がそれ以前よりも落ち着きやすくなることが分かっている。

ニューヨーク州立精神病院における追跡調査では、BPDの予後の良さと関連する要因として、以下のような点が上げられている。

1.知能指数(IQ)の高さ

2.女性の場合には、異性を惹きつける(自分のための愛情・保護を手に入れやすくする)魅力の高さ

3.物事をきちんとやろうとする強迫的・完全主義的な性格傾向

4.通常の働き方(サラリーマン的な会社勤め)とは異なる芸術・文化・執筆などの分野における一定以上の才能と適性

5.人から好かれる好ましい人物・性格構造の一面を持っている

6.アルコール依存症などの問題があっても、自助会などの人間関係(対人サポートの機会)に参加している。

境界性パーソナリティー障害(BPD)の経過・予後の悪さと関連する要因としては、以下のような点が上げられている。

1.親からの虐待経験+親の性格の冷淡さ・残酷さ(子供に対する共感性・理解の姿勢の欠如)

2.性的な自己アイデンティティを拡散・崩壊させるような性的虐待のエピソード

3.統合失調症的な精神症状や不適応・消極性(ひきこもり)が見られるシゾイド・パーソナリティー

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posted by ESDV Words Labo at 16:10 | TrackBack(0) | き:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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