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2015年05月29日

[オットー・カーンバーグの人格構造の3つの水準と機能性の違い]

オットー・カーンバーグの人格構造の3つの水準と機能性の違い

マーガレット・マーラーの乳幼児の『分離‐個体化』をベースにした早期発達理論では、母親から一定期間離れるための練習をする『練習期(practicing subphase:9〜14ヶ月)』を経験した後に、再び母親がいないことに対する寂しさや孤独感が強まって母親に接近していく『再接近期(reapproaching subphase:15〜24ヶ月)』が起こるとされている。

オットー・カーンバーグの人格構造の3つの水準と原始的防衛機制

幼児期や児童期の子供は、常に母親を『情緒的な安全基地(セキュリティ・ベース)』として活用しているところがあるのだが、この『再接近期』の時期に子供は不安感や孤独感が強まりやすいので、特に適切に情緒的応答(愛情表現・スキンシップ)を返してくれる『母親(自己対象)の存在』が必要になると考えられている。

再接近期の時期に、甘えたり頼ったりできる母親(自己対象)が不在だと、子供の意識は『乳幼児期の不安・依存の強い段階(精神分析でいう肛門期・男根期)』に固着しやすくなり、成長して青年や大人になってからもこの固着のある発達早期の段階に意識・感情・考えが退行しやすくなるのである。

境界性人格構造(境界性パーソナリティー構造:BPO)が形成される理由の一つが、この発達早期の段階への『固着・退行』であり、BPOの人は幼少期や再接近期に母親(自己対象)から『十分な愛情・保護』を注がれずに、何らかの不安・寂しさ・孤独をショッキングな感情体験として味わっていた可能性が推測される。

境界性パーソナリティー構造(BPO)の人は『分裂・投影同一視・否認・取り込み・原始的理想化』などの原始的防衛機制を用いるが、神経症的パーソナリティー構造(NPO)の人は『抑圧・反動形成・隔離・知性化・合理化・取り消し』といった自分が実際に持っている欲求・願望から目を背けて誤魔化してしまうタイプの神経症的な防衛機制を頻繁に用いやすい違いがある。

精神病的パーソナリティー構造(PPO)の場合には、自他未分離な乳児期の意識(精神)への固着・退行が顕著となり、『幻覚・妄想・錯乱(興奮)・無為・感情鈍麻・ひきこもり』といった統合失調症の精神症状(陽性・陰性の症状)にも似た重篤な状態に陥りやすい。境界性パーソナリティー構造(BPO)と比較すると、明らかに現実検討能力(現実吟味能力)が大きく下がっているというのが、精神病的パーソナリティー構造(PPO)の特徴なのである。

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posted by ESDV Words Labo at 17:21 | TrackBack(0) | か:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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