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2015年05月29日

[オットー・カーンバーグのパーソナリティー構造論の4つの利点と狩野力八郎の人格水準測定のための5つの尺度]

オットー・カーンバーグのパーソナリティー構造論の4つの利点と狩野力八郎の人格水準測定のための5つの尺度

力動精神医学の観点から、精神科・心療内科に来院する患者を診断する場合には、『神経症的パーソナリティー構造(NPO)→境界性パーソナリティー構造(BPO)→精神病的パーソナリティー構造(PPO)』の順番で病態水準が深刻で重いと判断する。

パーソナリティーの機能水準では、神経症的パーソナリティー構造(NPO)が最も人格水準が高く、精神病的パーソナリティー構造(PPO)が最も人格水準が低いという指標になる。

オットー・カーンバーグの人格構造の3つの水準と機能性の違い

精神分析家オットー・カーンバーグは、パーソナリティー構造の機能と病態の水準を分類整理して重症度を分ける利点として以下のようなポイントを指摘している。

1.薬物療法かどの心理療法かといった、人格水準に見合った治療方法の選択が行いやすくなるということ。

2.心理療法のプロセスや影響によって、医師(分析家)と患者の間にどういった治療関係を構築できるかが予測しやすくなること。

3.各種精神疾患に対する長期予防や治療計画(治療がどのくらいの期間かかってどれくらいまで回復するのかの見立て)が立てやすくなること。

4.各パーソナリティー構造の性格傾向や機能水準を理解することによって、一人の個人(人間)としての患者の理解が深まること。

日本の力動精神医学・精神分析の権威として知られる狩野力八郎(かのうりきはちろう)も、オットー・カーンバーグとは異なる視点や角度から、『パーソナリティー構造(人格構造)の機能水準を測定するための尺度』として以下の5つを指摘している。

1.他者との内的関係の深さ・安定度・学び……他者と争ったり、他者から助けられたり、他者との葛藤があったりといった『多様性のある人間関係』を経験しているか否か。そういった多様な人間関係をベースにして、いったん衝突したりこじれたりした人間関係を立て直して修復したり維持したりした経験があるか、他者との関わり合いから人生や人間関係に役立ち自分を成長させるポイントを学ぶことができるか。

2.愛情対象(対象関係)におけるアンビバレンス(両価性)に対する耐性……自分が好きな人や頼りにしている人の『嫌な側面(知らない側面)・自分を否定するような部分』を見た時には、人は怒りや恨み、見捨てられ感、心細さ、寂しさを感じるが、こういった愛情と憎悪(嫌悪)が同時に存在する心理状態を『アンビバレンス(両価性)』と呼んでいる。この苦痛なアンビバレンスの情緒・気分に耐えることができるか、耐えながらも好きな相手との人間関係を上手く調整したり立て直したり維持したりできるか、好きな相手の人間性の多様さを理解できるかという尺度である。

3.罪悪感・抑うつ感・分離不安(対象喪失)に対する耐性……相手を一人の人間として尊重することによって、『相手に悪いことや申し訳ないことをした』という罪悪感が芽生えるが、こういった自分と他者との関係性における罪悪感・感謝を感じられるかどうか。大切な相手と分かれた場合には、対象喪失の抑うつ感や分離不安が生じるが、こういった対象喪失による苦痛な感情に対してどのように対応して克服していこうとしているか。

4.自己概念の統合水準……『自分がどのような人間であるか・自分はどんな他者と関係を構築して維持していくのか・自分は何をしたいのか何をすべきなのか・自分の人生や人間関係、仕事にはどういった主観的意味づけができるのか・自分のためにあるいは他人のために自分には何ができるのか』といった自分で自分を定義して意味づけする『自己概念』がどれくらい安定的で統合されているか、自分が何者であり何をすればいいのかに対して迷い・苦悩がどれくらいあるかという尺度である。

5.自己一致の水準……『自分がどのような人間であるのかという自己概念』と『実際の自分の行動パターン・生活状況』がどのくらい一致しているか。『理想の自分(理想自我)』と『現実の自分(現実自我)』がどのくらい一致しているのかという尺度である。

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posted by ESDV Words Labo at 17:24 | TrackBack(0) | か:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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