うつ病・自殺問題の心理学的剖検2:自殺企図と精神疾患の相関関係
うつ病の精神症状とも重複するところのある、人間の『自己否定・絶望感(将来の悲観)・自殺リスク』といったものは、『貧困・不健康・孤独や疎外・愛情(思いやり)の欠損』によって悪化しやすいという特徴を持っている。
うつ病・自殺問題の心理学的剖検1:同意を得た上での関係者へのリサーチ
自殺に対する『心理学的剖検』では、ある地域で自殺が発生した時にリサーチや心理分析の能力・経験を持つ専門家チームを派遣して、家族・関係者の同意を得た上で『自殺者の生活状況・心理状態・性格行動・人間関係・思想や価値観などに対するインタビュー形式の調査』を行っていく。
アメリカやイギリスなどの心理学的剖検に基づく自殺問題の研究調査では、自殺者の約9割に何らかの『精神疾患(特にうつ病)』を発症していた可能性が指摘されており、『正常な心理状態と判断能力』を維持した上で自殺企図をする人は極めて少ないと考えられている。
自殺の事例には、本人が精神的苦悩や心理的な不調を訴えないままに自殺してしまうケースも相当数含まれているので、必ずしも全ての自殺がうつ病・双極性障害(そううつ病)・統合失調症などの精神病が原因になっているというわけではない。
だが、『自殺者に占める精神疾患発症率の高さ+精神疾患に対する適切な治療を受けていないケースの多さ(中途で不適切な状態で治療が中断されたままになっているケースの多さ)』を考えると、有効な自殺予防のための対処方法として『精神疾患の早期発見・早期治療・治療継続』が重要になってくる。
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