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2015年07月29日

[統合失調症の歴史と症状1:E.クレペリンとE.ブロイラーの精神病理学]

統合失調症の歴史と症状1:E.クレペリンとE.ブロイラーの精神病理学

近代精神医学における統合失調症の歴史的な起源は、ドイツの精神科医エミール・クレペリン(Emil Kraepelin, 1856-1926)が、1889年に躁鬱病(双極性障害)と並ぶ『二大精神病』の一つと定義した『早発性痴呆(Dementia Praecox)』にあるとされる。

早発性痴呆というのはその名前が示す通り、老年期にまで至らない早期に発症する重症の痴呆(認知症)のことであり、早発性痴呆の予後は『人格荒廃・精神崩壊(精神機能の全面的喪失)・死』といった悲観的なものであった。しかし、E.クレペリンが想定したような『最悪の経過・予後』を辿らない精神病の事例も多く報告されるようになり、この原因不明の精神病に対して新たな病態の説明理論と理解が要請されることになった。

そして、スイスの精神科医オイゲン・ブロイラー(Eugen Bleuler, 1857-1939)が1911年、に人格・精神機能・対人関係・興味関心が全般的に障害される精神病として『統合失調症(Schizophrenia)』を定義することになるのである。“Schizophrenia”の邦訳は長年にわたって『精神分裂病』という病名が用いられていたが、日本語としての言葉の意味や感覚が病気にまつわる誤解や偏見、差別を助長しかねないとして、 2002年8月に日本精神神経学会の決議で『統合失調症』へと改名された。

統合失調症の原因については、最新のfMRIなどの画像診断法を用いた脳科学的研究では『脳の器質的病変の可能性』も疑われているが、現在のところ、明確な身体的異常・脳の器質的病変(画像診断で確実に区別できるほどの脳内の異常所見)のない『機能性精神病』として定義されている。統合失調症の症状は大きく分類すると、以下のように分けられる。

1.陽性症状……幻覚・妄想・思考障害・自我機能の障害など。健常者には見られない精神症状が見られる(陽性)。

2.陰性症状……感情の平板化・無為・ひきこもり・全般的な無関心(興味・意欲の喪失)など。健常者に見られる精神機能や行動様式が見られない(陰性)

3.対人関係やコミュニケーションの円滑性が失われる障害・刺激に対する過敏性(感覚の過剰な敏感さ)

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posted by ESDV Words Labo at 07:36 | TrackBack(0) | と:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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